競馬あれこれ 第168号

実力馬が多数始動する

中山記念を分析する

 
チーム・協会

【Photo by JRA

今回の分析レースは中山記念。G1・大阪杯の前哨戦に位置づけられ、20年にラッキーライラックがここから本番を制した例がある。また、安田記念など春のマイル路線を視野に入れる馬の出走も少なくない。中距離とマイルの両方でG1につながる芝1800mのG2を、過去10年のデータから調べていきたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

4歳の複勝率は5割に迫る

■表1 【年齢別成績】

過去10年で4歳と5歳が各4勝をマーク。特に4歳の複勝率は5割近く、かなりの確率で好走してくる。また、5歳も勝率と連対率で4歳と遜色のない数値を残している。一方、6歳と7歳も1勝ずつを挙げ、決してノーチャンスではないが、4歳および5歳が優位であることは間違いなさそうだ。

前走G1およびG3出走馬が主力

■表2 【前走クラス別成績】

続いて前走クラス別成績を確認しよう。前走国内G1が過去10年で6勝を挙げ、1~3着13回も最多。これに次ぐのが国内G3で、3勝、1~3着10回をマークしている。つまり、前走が国内G1もしくはG3だった馬が、好走の4分の3以上を占めていることになる。一方、重賞でも前走国内G2は、19走で3着1回だけと苦戦している。

前走海外も11走とまずまずの出走例があり、いずれも前走では前年末の香港国際競走を使っていた。気になるのは、前走香港カップが【0.0.0.4】と振るわないこと。前走が香港マイル香港ヴァーズであれば、合算して【1.1.1.4】となかなかの好成績だ。

前走G1で9番人気には入っておきたい

■表3 【前走国内G1出走馬に関するデータ】

前走国内G1出走馬に関するデータを、ふたつ見ておきたい。ひとつは「前走人気」。前走のG1で1、2番人気だった馬の好走率はさすがに高い。ただ、5番人気や6~9番人気の複勝率も大きな差はなく、前走のG1で9番人気以内なら十分だろう。もうひとつは「前走距離」。前走が芝1600~2200mのG1だといずれも複勝率40~50%台だが、芝2400~3000mのG1では複勝率10~20%台にとどまる。この前走G1の距離別の成績差も要確認だ。

前走G3は「前走3番人気以内・3着以内」が目安

■表4 【前走国内G3出走馬に関するデータ】

前走国内G3出走馬についても、ふたつのデータを見ておこう。「前走人気」は、前走のG3で1~3番人気なら合算して【3.4.1.5】と優秀。対して、4番人気以下は【0.1.1.16】と途端に好走しづらくなる。「前走着順」は、前走のG3で1~3着なら合算して【3.4.2.6】と抜群。以下、前走4~5着は過去10年に出走例がないのだが、前走6着以下は合わせて【0.1.0.15】と、これは苦戦を免れないようだ。

前走では4角を9番手以内で回っておきたい

■表5 【4角通過順に関するデータ】

4角通過順に関するデータも見ておきたい。明らかなのは「前走」の4角通過順が10番手以降だった馬が苦戦していること。いつも10番手以降からレースを進めるタイプの馬については、追って届かないケースも想定しておくべきだろう。なお、7~9番手だった馬は好成績を収めており、前走4角9番手以内であれば問題はなさそうだ。

「今走(=中山記念)」に関しても、4角10番手以降から好走した馬は皆無で、「前走」のデータと綺麗にリンクしている。一方、今走の4角を1~4番手で回ると好走率が非常に高く、特に3~4番手の8勝は目を引く。先行できそうな馬を上手に探し当てたい。

【結論】

ポイント「データ面で安心なのはエルトンバローズ」

前走国内G1出走馬6頭のうち、前走9番人気以内だったのはソールオリエンス、エルトンバローズ、レッドモンレーヴ、ソーヴァリアントの4頭。このなかで、データ面でもっとも安心できるのは、前走芝1600mのマイルCSで4番人気、4角8番手だった4歳馬のエルトンバローズである。同じく4歳の皐月賞馬ソールオリエンスは、前走が芝2500mの有馬記念で、そこで4角12番手だった点が気になるところ。実績上位は間違いないが、位置取りのリスクを考慮しておく必要はある。

前走国内G3出走馬も6頭いる。今回のデータ分析からは、前走1~3番人気に合致するボーンディスウェイ、前走1~3着に合致するマイネルクリソーラの2頭を挙げておきたい。ともに5歳馬で、前走中山金杯の4角通過が前者は2番手、後者は4番手だった点も好感が持てる。

中山記念3勝目を目指すヒシイグアスにも触れておくべきだろう。今年で8歳(以上)、前走は香港カップ。過去10年で好走例がないデータにふたつ合致しており、今回の分析では強調しづらいが、なにせ過去2勝でレース適性には疑いの余地がない。年齢的な衰えがないと判断できるようなら、無視はできない存在だ。

 

 

 

 

競馬あれこれ 第167号

フェブラリーS】153万馬券を呼ぶ激走、殊勲の藤岡佑が明かす11番人気ペプチドナイルの勝因

 
チーム・協会

2024年最初のJRA・GI、フェブラリーステークスは11番人気の伏兵ペプチドナイルが優勝 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 2024年最初のJRA・GI、第41回フェブラリーステークスが2月18日(日)に東京競馬場1600mダートで行われ、藤岡佑介騎手騎乗の11番人気ペプチドナイル(牡6=栗東・武英厩舎、父キングカメハメハ)が優勝。好位4番手の外から最後の直線で堂々突き抜け、GI初挑戦で初タイトルを手にした。良馬場の勝ちタイムは1分35秒7。

 ペプチドナイルは今回の勝利でJRA通算20戦8勝、重賞は初勝利。藤岡佑騎手はフェブラリーS初勝利で、GIは2018年NHKマイルカップ(ケイアイノーテック)以来の通算2勝目。同馬を管理する武英智調教師は開業7年目にして嬉しいJRA・GI初勝利となった。

 なお、1馬身1/4差の2着には長岡禎仁騎手騎乗の5番人気ガイアフォース(牡5=栗東・杉山晴厩舎)、さらにクビ差の3着には武豊騎手騎乗の13番人気セキフウ(牡5=栗東・武幸厩舎)が入り、3連単は153万500円の特大配当となった。

陣営自信のGI初参戦「本格化してきた今ならチャンス」

「本格化した今なら……」武英調教師(左から4人目)も確かな自信を持ってのフェブラリーステークス参戦だった 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 24年JRA・GIシリーズの開幕戦をひと言で言うなら、とにかく多彩。ウシュバテソーロ、レモンポップらチャンピオン級の馬が揃って不在の中、重賞未勝利でキャリア5戦3勝の4歳馬オメガギネスが押し出されるように1番人気になったことからも分かるように、何が勝っても不思議ではないメンバーと組み合わせだった。

 とは言いながらも、ペプチドナイルの完勝には驚かされた。好位追走から直線半ばで早くも先頭に立ち、後続を寄せ付けることなく1馬身1/4差の完封。11番人気でGI初挑戦の穴馬の勝ち方ではない、まさに横綱級の競馬だった。

「ペースも厳しかったですし、馬にとってはタフで苦しい競馬になったと思うのですが、本当に馬がよく頑張ってくれました」

表彰式後の共同会見で、藤岡佑騎手は開口一番に愛馬の奮闘を讃えた。重賞はこれまで3度挑戦し、昨年11月のGIIIみやこステークス4着が最高成績。また、これまで中距離を使われてきた同馬は1600mという距離も初めて。2ケタ人気が示すように実績だけで見ればなかなか有力馬には推しづらい馬だろう。しかし、武英調教師が「なぜこんなに人気がないのかなと思っていました」と振り返ったように、陣営には確かな自信を持ってのフェブラリーステークス参戦だったのだ。

 その一番の根拠としていたのは肉体面、精神面での成長。「年末から使い詰めで来ていましたが体調はずっと良くて、メンタルも強くなったことでいよいよ本格化してきたという印象。今ならワンターンの東京マイルでもチャンスがあると思っていました」とトレーナー。それは藤岡佑騎手も同じ思いだった。

ポイントは枠順の並びと1列下げたポジション

枠順の並びを生かした先行策、そして自身のリズムとペースを守ったことが最後の伸び脚につながった 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 もう一つ、ジョッキーと陣営が思いを一つにした大きなプラス材料がある。それは枠順の並び。ちょうど真ん中の5枠9番自体も良かったし、他馬がそれぞれ入った枠番から想像できる展開になればペプチドナイルの力を存分に発揮できる競馬になる――そう確信した藤岡佑騎手は枠番発表後すぐに武英調教師に電話でそう伝えると、トレーナーから返ってきた答えも同じものだった。

「この馬は取りたいポジションが決まっていて、無理に出したり引いたりしたくないタイプ。とにかくスムーズにそのポジションを取れるかがポイントで、最初のコーナーまでが大事な馬なんです。その意味では前走(東海ステークス6着)は枠順が出た時から最悪だと思ったのですが、今回は枠順が出た瞬間にパッとレースのイメージがわきましたし、すごく良い並びに思えたんです。それを先生に伝えたら同じ意見でしたね」

 8枠15番からフェブラリーS史上最高馬体重を更新した592kgの快速巨漢ドンフランキーが勢いよく飛び出すと、それを見る形でペプチドナイルも先行。理想とする形はこのまま2番手に収まる位置取りだったが、それを許さなかったのが松山弘平騎手の2番人気ウィルソンテソーロ。外から厳しくインを締められ、2番手確保が難しくなった。藤岡佑騎手が勝敗を分けた前半戦を振り返る。

「本当は2番手を取り切りたかったのですが、ペースも流れていてウィルソンテソーロも開いてくれてなかったので、2番手に押し込むには厳しいなと思って1列下げました。そこをスムーズに下げられたのが一番の勝因かなとも思いますね」

想定以上の手応えで早め先頭「直線は長かった」

6歳の初GI挑戦にしてつかんだビッグタイトル、今後はウシュバテソーロ、レモンポップらと対決が楽しみになる 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 前半600mは33秒9というハイラップ。ゴール手前で先行勢がバタバタとつぶれていったことを思えば、もしウィルソンテソーロに付き合ってポジション争いをしていたらペプチドナイルも最後まで脚は残っていなかっただろう。ジョッキーが振り返ったように、理想の位置取りとはいかずともそこにこだわらず、リズムとペースを優先して冷静に一歩引いたことが結果的にウイニングロードを開くことになった。レースを見守った武英調教師も、この攻防をスムーズに収められたことで「ヨシッ!」と勝ち負けへの手応えをつかんだという。

 そして迎えた最後の直線。ここまではほぼ思い描いていた通りに運べていた藤岡佑騎手だったが、想定以上だったのは直線での愛馬の手応え。

「脚質的に後ろを気にしても仕方ないタイプ。あとは自分の馬がどれだけ手応え良く直線に向いてくれるかでした。でも、想定以上に手応えが良かったですね。先頭に立つのも早かったのですが、慌てて追い出したわけではないですし、ゴールまでに脚をなくさないように丁寧にじっくりと追いました。余裕はあったんですけど、ゴールまで長かったです(笑)」

オーナー、藤岡佑と武英調教師のつながり

武英調教師にとって「かわいい後輩」という藤岡佑騎手、厩舎の初勝利も同じタッグだった 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 メイケイエールでの活躍が印象深い武英調教師にとって、これが延べ16頭目での挑戦でのGI初戴冠。「オーナーは自分のジョッキー時代の一番しんどかった時にお世話になった方。とにかくこのオーナーと一緒に大きなところを取りたいと思っていました」。調教師のみならず、オーナーの沼川一彦氏にとってもこれが初の重賞タイトル。チームとして忘れられない大きな1勝となっただろう。

 加えて、「かわいい後輩」という藤岡佑騎手とのタッグでビッグレースを制したことも喜びを増幅させた。

「ジョッキー時代からずっと仲良くやってきました。実は厩舎の初勝利も佑介なんです。特別戦での初勝利だったのですが、何か縁を感じますね。今回の勝利で佑介はさらに生意気になるんだろうなって(笑)」

 人の縁、つながりも強く感じさせた今回のペプチドナイルの劇的勝利。前述したようにチャンピオン級の馬が不在だったことから、「砂の新王者誕生」とはまだ大々的に言うことはできないかもしれないが、遅咲きのスター候補が現れたことは間違いないだろう。武英調教師は今後について「獲得賞金的に心配することがなくなったので、馬の状態に合わせたローテを組んでいきたい」と話しており、距離は今回のようなワンターンのマイルから2000mの中距離まで視野に入れている。藤岡佑騎手も好走のポイントは「自分のペースを守ること」であり、適性距離については「レンジが広い」と太鼓判を押していことから、今後はオールマイティの活躍を期待して良さそうだ。

 そして、海外遠征が活発になり、3歳新三冠レースも創設されて新たな時代を迎えつつあるダート競馬。ペプチドナイルとサウジ遠征組との対決は夏から秋以降にはなると思うが、層がさらに厚くなる新星の登場でダート戦線はさらに面白くなった。

競馬あれこれ 第166号

「2強」が不在のフェブラリーSを制する馬は?

 
チーム・協会

【Photo by JRA

今週日曜日は東京競馬場フェブラリーSが行われる。2024年も中央競馬のG1がいよいよ始まる。出走予定メンバーを見渡すと、昨年JRAのダートG1を2勝し、JRA賞最優秀ダートホースに輝いたレモンポップと、ドバイワールドカップ東京大賞典を制したウシュバテソーロが不在な点は残念だ。ただ、その分多くの馬に勝つチャンスがありそうだ。いつものように過去10年をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して振り返り、レース傾向を分析してみたい。

4歳・5歳が強い

■表1 【フェブラリーSの年齢別成績、過去10年】

過去10年(以下、同様)のフェブラリーSの年齢別成績を調べたところ、4歳と5歳の成績が良かった。6歳は5歳に比べると好走率が半分近くに下がってしまった。7歳以上になるとさらに厳しくなるが、8歳で好走した馬が3頭もいた。ベテランの馬も軽視はできない。

アメリカのダート血統に注目

■表2 【フェブラリーS種牡馬成績、過去10年】

種牡馬成績を調べたところ、ゴールドアリュールが【3.2.1.11】の好成績で、ゴールドドリームコパノリッキーが複数回好走した。勝ち馬を出している種牡馬の中で、現役時代にJRA所属だったのは意外にもこの馬だけだった。その他はAmerican PharoahトワイニングHenny Hughesケイムホーム、Lomon Drop Kidと現役時代はアメリカのダートで活躍した馬ばかりだ。2着馬を出した種牡馬にもMajestic Warriorシニスターミニスターといったアメリカのダート血統がいる。こうした上位勢の顔ぶれを見ると、明らかにJRAの芝とは異なり、ダートらしい特徴が出ていると言える。

前哨戦を使うことがマイナスではない

■表3 【フェブラリーSの前走レース別成績、過去10年】

前走レース別成績を調べたところ、根岸S【4.2.3.49】組が最も多く、その内前走2着以内だと【4.2.3.6】という好成績だった。逆に前走根岸S3着以下だと【0.0.0.42】であり、同レース組は連対馬のみをマークすればいい。そして東海S【2.1.1.16】組の出走が2番目に多い。現在、JRAのG1出走馬は本番までのレース間隔が短くなるので前哨戦を避ける傾向にあるが、本競走においては前哨戦を使うことがマイナス材料にはならない。前走G1/Jpn1組においては、川崎記念東京大賞典組からは勝ち馬が出ていないが、チャンピオンズC【3.3.2.9】組は好成績だ。

前走1400~1800mで2着以内が有力

■表4 【フェブラリーSの前走距離別成績、過去10年】

さらに前走距離別成績を調べてみると、今回距離延長よりも短縮の方が成績は良かった。ただし、前走1800m【6.4.4.32】が好走馬の大半を占めており、前走2000m以上からは勝ち馬が出ていなかった。前走1400~1800m組は【10.6.8.97】で、その内前走2着以内だと【6.4.5.32】という成績だった。つまり今回の1600mと近い距離のレースで好走している馬が狙いの一つになる。

【結論】

前走東海S2着のオメガギネスに注目

前走東海Sで2着と敗れてしまい危うく除外になりそうだったオメガギネスだが、ローテーション自体は好ましい。まだキャリアが浅く、G1経験もない新興勢力的な存在だが、本競走においてはそのようなタイプ(モーニンやインティなど)が良く好走しており、プラス材料だと考えたい。

前走成績が良く、1600~1800mのダートG1/Jpn1で好走実績があるのはイグナイター、ドゥラエレーデ、レッドルゼル、ウィルソンテソーロ。前走東京大賞典は敗れたが、シニスターミニスター産駒のキングズソード、ミックファイアあたりまで有力とみたい。

 

 

 

 

競馬あれこれ 第165号

ノーザンファーム生産馬に注目! クイーンC分析

チーム・協会


今週は土曜東京でクイーンC、日曜には東京で共同通信杯、京都で京都記念と3鞍の重賞が行われる。今回は土曜東京メインの3歳牝馬重賞、クイーンCをピックアップ。桜花賞のみならず、NHKマイルCに向けても注目の一戦だ。2014年以降過去10年のデータからクイーンCのレース傾向ならびに今年馬券で狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

3番人気以内で9勝、なかでも前走連対馬が7勝

■表1 【クイーンCの人気別成績(過去10年)】

表1はクイーンC過去10年の人気別成績。1・2番人気馬が4勝ずつで、複勝率でも70.0%で並んでいる。連対率では2番人気馬が60.0%でトップ。3番人気馬も複勝率は50.0%と高く、上位3番人気以内が【9.5.5.11】で大半の9勝をあげ、好走が目立つ

これら上位3番人気以内の前走着順別成績は、前走1着馬が5勝、前走2着馬が2勝と前走連対馬で7勝をあげており、ともに連対率は60.0%と高い。前走4着以下は1勝のみだが、3着が4回と多く、複勝率は75.0%と優秀だ。

4番人気以下では、5~7番人気馬が【1.4.4.21】で2・3着が多く、複勝率30.0%。8番人気以下は3着1回(12番人気)のみとなっている。

栗東所属の関西馬、特に前走連対馬に注目

■表2 【クイーンC出走馬の所属別成績(過去10年)】

表2はクイーンC出走馬の所属別成績。出走馬の7割強を占める美浦所属の関東馬は一昨年のプレサージュリフトら6勝をあげている。昨年は3着モリアーナが該当しており、毎年1頭は3着以内に入っているものの、連対率10.3%・複勝率16.8%。対して、栗東所属の関西馬は昨年のハーパーら4勝をあげており、連対率23.7%・複勝率31.6%と関東馬を大きく上回っている。関西馬の勝ち馬4頭はすべて前走で連対を果たしていた。

前走阪神JF9着以内馬が安定

■表3 【クイーンCの前走クラス別成績(過去10年)】

表3は前走クラス別成績。前走G1はすべて阪神JF組で、19年クロノジェネシスら3勝をあげ、複勝率は45.5%と高い。この中で前走1ケタ着順だった馬は連対率40.0%・複勝率53.3%と優秀だ。

他では前走G3組が2勝しており、複勝率29.0%。前走1勝クラス組は21年アカイトリノムスメら3勝をあげるも、複勝率は9.3%と低い。

ノーザンファーム生産馬が8連勝中

■表4 【クイーンCの生産者別成績(過去10年)】

表4は生産者別成績。ノーザンファーム生産馬が目下8連勝中で、連対率31.9%・複勝率48.9%。この中で上位3番人気以内に支持された馬は【7.4.5.3】で、大半の7勝をあげ、連対率57.9%・複勝率84.2%と非常に優秀。瞬発力に優れた馬が多いノーザンファーム生産馬にとって、東京芝1600mのクイーンCは狙いのレースなのだろう。

他では白老ファーム生産馬、追分ファーム生産馬が1勝ずつ。対して、社台ファーム生産馬は勝ち星がなく、2着2回止まりとなっている。

【結論】

ノーザンファーム生産の関西馬クイーンズウォークに注目!

■表5 【今年のクイーンCの注目馬】

(表5は2/7時点)

実績最上位は前走阪神JF4着のサフィラ。2走前のアルテミスSでは2着に入っておりコース実績もある。ノーザンファーム生産の関西馬で、前走阪神JF組と条件は揃っているものの、前走4着というのが表1・表2から引っかかる。朝日杯FSを勝利したサリオスの全妹で能力の高さは間違いないが、敗れる場面は十分にあるだろう。

今回筆頭に推奨するのがサフィラと同じくノーザンファーム生産の関西馬クイーンズウォーク。前走未勝利組は過去10年で1勝のみだが、重賞初挑戦でも勝つ力はあると見る。前走の未勝利戦は後半3ハロンを加速ラップで走り、ムチを入れずに2馬身差の快勝。栗東の中内田厩舎所属で、前走に引き続き川田騎手が騎乗予定。アタマから狙ってみたい。

他ではナミュールの半妹で東京芝1600mの新馬戦を勝利したアルセナール。前走に引き続きルメール騎手が騎乗予定で人気になりそうだが、前走の勝ち時計、上がりともに平凡。それならば前走新馬勝ちの時計が1分34秒1と優秀で、ノーザンファーム生産馬のルージュサリナスを上に見たい。

 

 

 

 

競馬あれこれ 第164号

G1制覇へ前進する馬は? 東京新聞杯を分析する

 
チーム・協会

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ヴィクトリアMや安田記念と同じ東京芝1600mで行われる東京新聞杯。大一番までは3カ月以上あるものの、2022年には本競走2着のファインルージュがヴィクトリアMに直行して2着、そして本競走1着のイルーシヴパンサーが安田記念に向かい1番人気(8着)の支持を受けるなど、G1のステップレースとしても機能している一戦だ。今年、ここを制してG1へはずみをつけるのはどの馬か。JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去の傾向を分析したい。

4歳馬、牝馬が好成績

■表1 【年齢別、性別成績】

過去10年の年齢別では4歳が【4.5.4.27】で複勝率32.5%の好成績。そして性別では牝馬が【4.4.2.11】同47.6%で、牡・セン馬の同15.7%を大きく上回っている。どちらにも該当する4歳牝馬は【1.3.1.3】で複勝率62.5%と注目は欠かせない。

今年は前走G1出走馬が主力か

■表2 【前走クラス別成績】

前走クラス別では、3勝クラス組と国内G1組が複勝率38.5%で並んでいる。このうち3勝クラス組の好走馬5頭は前走11月以降の芝1600~1800m戦1着馬ばかりで、今年は該当馬不在。前走G1組が主力と考えていいだろう。そのG1組の中でも牝馬は【4.2.1.2】複勝率77.8%と抜群の成績を残している。なお、G1組に次いで複勝率が高いのはG2組だが、好走した3頭はすべて阪神C組で今年は登録なし。前走G1組以外ならG3組ということになりそうだ。

前走G1組は前年夏以降の重賞実績をチェック

■表3 【前走G1組の成績(牝馬は該当全馬、牡馬は3着以内好走馬のみ)】

表3は前走国内G1組の成績。【4.2.1.2】の牝馬は該当全馬を掲載し、【1.1.1.14】の牡馬は3着以内の好走馬のみを抜粋している。牡牝問わず好走した10頭に共通するのは、前年夏以降の重賞で3着以内に入っていたこと。特に牝馬はこれをクリアしていれば【4.2.1.0】の複勝率100%で、クリアしていなかった馬は【0.0.0.2】とくっきり明暗が分かれている。なお、前走は前年10月以降であれば着順は問われない。

G3組は前走京都金杯3着以内か2走前連対

■表4 【前走G3からの好走馬】

2走前の※は東京芝1600m

前走G3組の好走馬は8頭。このうち半数の4頭は前走で同じマイルG3の京都金杯に出走して3着以内だった。これに該当しない馬は2走前がチェックポイントとなり、2頭は重賞で連対、2頭は本競走と同じ東京芝1600mのオープン特別か3勝クラスで勝利していた。

オープン特別組は前走1~2番人気のマイル重賞実績馬

■表5 【前走オープン特別からの好走馬】

オープン特別組はG1組やG3組に比べれば劣勢だが、好走馬の傾向はわかりやすい。まず前走のキャピタルSかニューイヤーSで2番人気以内の支持を受けていたこと。そしてマイル重賞の連対実績を持っていたことが共通点として挙げられる。なお、カテドラルはNHKマイルC3着もあるため、「マイルG1で3着以内か東京マイルの重賞勝ち」ととらえることもできる。いずれにせよ、前走がオープン特別だった馬でも重賞好走実績は必須だ。

【結論】

前走秋華賞2着の4歳牝馬・マスクトディーヴァが中心

前走3勝クラス組と国内G1組が高複勝率を残す東京新聞杯だが、表2本文で触れたように今年は国内G1組が有力。中でも、2走前にローズSを制し前走の秋華賞でも2着に食い込んだ4歳牝馬マスクトディーヴァが中心になる。G1組かつ前年夏以降に重賞3着以内の実績がある牝馬複勝率100%だ(表3本文)。マイル戦初出走という点はやや気になるものの、2020年には同じく牝馬でマイル戦未経験だったシャドウディーヴァが2着に食い込んだ例もあり、大きな減点までは必要ないとみたい。

G1組からもう1頭挙げればジャスティンカフェ。6歳牡馬(表1)という点でマスクトディーヴァには見劣るが、6月のエプソムC優勝、前走のマイルCS3着でこちらもG1組の好走条件を満たしている。

競馬あれこれ 第163号

 

4年ぶりに京都に戻るシルクロードSを分析する

 
チーム・協会

【データ分析】

昨年まで3年間は中京開催となったシルクロードSだが、今年は本来の京都に戻る。データをどのように扱うべきか悩むところだが、今回は過去10年分を京都の7年分(14~20年)と中京の3年分(21~23年)に区分し、レース傾向を読み解いていきたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

京都開催のほうが穴馬にはチャンスも

■表1 【人気別成績】

最初に人気傾向をチェックしておきたい。京都、中京に共通するのは1番人気がやや苦戦していること。代わって2~4番人気が好成績を収めていることも同様だ。5番人気以下は、京都のほうが高い複勝率を残しており、複勝回収値97もなかなか優秀。穴馬にとっては中京よりチャンスが大きくなるかもしれない。

前走5着以内には入っておきたい

■表2 【前走着順別成績】

前走着順別成績を確認すると、前走6着以下馬の苦戦は京都、中京とも同じ。前走1~5着馬が中心となるが、京都の場合、複勝率ベースの数値は前走1~5着であれば決定的な差はなく、前走で掲示板に載っていればOKとみたい。

同コースの前走が復権するか

■表3 【前走レース別成績・出走5回以上のみ】

前走レース別成績は京都と中京で異なる傾向が見られる。京都の場合、前走で同じ京都芝1200mの京阪杯や淀短距離Sを走っていた馬の好走例が多い。しかし、近3年の中京では前走京阪杯が【1.0.0.9】、前走淀短距離Sが【0.0.0.9】と苦戦していた。京都に戻る今年は、京阪杯組や淀短距離S組が好走しやすくなっても不思議はない。逆に、中京のほうが好成績だった前走スプリンターズSや前走タンザナイトSは、京都開催が歓迎材料とならない可能性がある。最後に、前走3勝クラスについて付記しておくと、前走が芝1200mだと過去10年通算で【0.1.2.5】と侮れない。なお、該当する8頭はすべて前走1着だった。

斤量「今回増」の好走率が高い

■表4 【斤量の増減別成績】

ハンデ戦シルクロードSでは、前走からの斤量の増減も気になるところだ。データをチェックすると、京都、中京ともに斤量「今回増」の勝率、連対率、複勝率がもっとも高いという傾向が出ている。特に「今回2キロ以上増」は過去10年通算で【3.2.0.5】と好成績なのだが、今年は該当馬がいなかった。対して「今回減」は、京都で複勝回収値145を記録。「今回減」の好走がなかった近3年の中京よりは、注意を払ったほうがよさそうだ。

前走4角10番手以降が健闘

■表5 【前走4角通過順別成績】

前走4角通過順に関するデータも興味深い。京都、中京で共通するのは、前走4角10番手以降の成績が悪くないこと。特に京都では前走4角1番手に次ぐ複勝率を記録している。ただし、前走7~9番手は京都、中京ともに数字が悪いことには注意が必要だ。狙うのであれば、もっと後ろの10番手以降から追い込むタイプの馬のほうがいい。

では、逃げ・先行馬はどうか。先に中京から見ていくと、前走4角1番手だった馬は1頭も3着以内に入れず、前走4角2番手や3~4番手の連対例もなかった。同様に京都も、前走2番手や3~4番手が複勝率10%台前半にとどまっている。前走4角1番手だった馬なら好成績だが、逃げ以外の先行タイプは意外に好走しづらいレースであることがわかる。

【結論】

前走京阪杯で5着以内に入った2頭が有望

今回のデータ分析から有望と思われる馬を紹介していこう。まず前提として、登録20頭のうち、前走着順が1~5着だった13頭を対象とする。

京都に戻る今年は、同コースの前走を重視したい。前走京阪杯で2着のルガル、同4着のトゥラヴェスーラは、どちらも斤量が今回増。一般的には割引材料と思われるが、シルクロードSに関してはむしろ好走しやすい。また、京阪杯の4角通過順がルガルは5番手、トゥラヴェスーラは10番手だったのもデータ的に悪くない。

過去3年の中京では苦戦した前走淀短距離Sも、今年は一定のマークが必要だろう。1~5着馬のうち3頭が登録し、そのうち前走4角1番手のカルネアサーダに注目したい。そのほか、京都開催の14~20年で勝ち馬2頭を出している前走阪神Cアグリと、3勝クラスの芝1200mを勝ってきたバースクライも軽視はできない存在だ。

 

 

 

 

競馬あれこれ 第162号

今年は馬場状態も気になるAJCCを分析する

チーム・協会

【データ分析】

今週日曜日は中山でアメリカジョッキークラブC(AJCC)、京都で東海Sが行われる。東海Sは例年の中京ではないためデータでの攻略が少し難しいので、今回はAJCCにスポットを当てることにする。過去10年を振り返り、レース傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析してみたい。

単勝1倍台の馬が3頭敗退

■表1 【AJCC単勝オッズ別成績、過去10年】

単勝オッズ別の成績を調べたところ、単勝1倍台の馬が3頭(15年ゴールドシップ7着、19年フィエールマン2着、23年ガイアフォース5着)も敗れていた。1番人気成績【2.3.0.5】が特別に悪いわけではないが、圧倒的人気でも油断ならない一戦だ。一方、10.0~99.9倍の馬の伏兵が馬券に絡むケースが目立つ。しかし、さすがに100.0倍以上の馬は厳しい。

前走JRA重賞組が中心

■表2 【AJCCの前走クラス別成績、過去10年】

前走クラス別成績を調べたところ、前走JRA重賞組の成績が【8.9.8.77】で好走馬の8割以上を占め、単勝回収値94、複勝回収値104と馬券的な魅力も秘める。中でもG1組は勝率や単勝回収値が高い。G3組は勝率が低いが、複勝率や複勝回収値が優秀だ。対照的に前走3勝クラス組やオープン特別組は苦戦している。

前走G3組は中山金杯以外ならば狙える

■表3 【前走G3組のレース別成績】

前走G3組のレース別成績を調べたところ、最も出走馬が多い中山金杯【0.1.1.14】の好走率が低かった。前走G3組のうち、中山金杯を除いた成績は【1.5.3.14】となる。それでも勝率は4.3%と低いが、連対率26.1%、複勝率39.1%となった。

前走G2で3着以内の馬に注目

■表4 【前走G2組の着順別成績】

前走G2組の着順別成績を調べたところ、3着以内であれば【2.0.2.3】の好成績であることがわかった。好走馬4頭のレース内訳は金鯱賞(2頭)、ステイヤーズSとアルゼンチン共和国杯(それぞれ1頭)。前走4着以下【0.0.0.19】からは全く好走馬が出ていない。

前走G1組の好走馬の半分は中山芝重賞で好走実績あり

■表5 【前走G1組の好走馬】

前走G1組の好走馬を調べたところ、10頭中(内1頭は中山芝未経験)5頭に中山芝重賞で好走実績があった。特に距離2200mのオールカマーセントライト記念で好走実績があると心強い。また、19年のシャケトラは17年有馬記念(6着)以来、約13か月の休み明けながら勝利を果たした。

【結論】

有力馬に道悪巧者が揃った

まず前走G1組からは中山芝重賞で好走実績があるカラテ(22年中山記念2着)とモリアーナ(23年紫苑S1着)が有力。次に前走G2組の有力馬はマイネルウィルトス(前走ステイヤーズS3着)とチャックネイト(前走アルゼンチン共和国杯3着)。そして前走G3組の注目馬はボッケリーニ(前走チャレンジ2着)になるだろう。

冒頭に述べたように今週日曜日は天気が崩れ、馬場状態が悪化することが考えられる。そこで有力馬の芝の重・不良成績を調べておきたい。カラテ【2.0.0.2】、マイネルウィルトス【1.1.1.2】、チャックネイト【1.0.0.0】、ボッケリーニ【1.2.0.1】。モリアーナは未経験だったが4頭に勝ち鞍があった。特にカラテは不良馬場の23年新潟大賞典をハンデ59キロで勝利。ボッケリーニは不良馬場の23年日経賞で2着。マイネルウィルトスは超不良馬場の福島民報杯(新潟芝2000m)で大差勝ちの実績がある。この3頭にとって道悪は「歓迎」という印象なので、馬場が渋った方がチャンスは大きいのではないだろうか。

 

 

 

 

競馬あれこれ 第161号

まさかのキャリア1戦馬が優勢!? 京成杯分析

チーム・協会

【データ分析】

今週は土曜に小倉で愛知杯、日曜に中山で京成杯、京都で日経新春杯と3鞍の重賞が組まれている。今回は日曜中山メインの京成杯をピックアップ。昨年はソールオリエンスが勝利し、続く皐月賞も制している。クラシックへ向けて注目の一戦を過去10年のデータから分析し、今年馬券で狙えるタイプを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

キャリア1戦、特に前走上がり最速馬が好成績

■表1 【京成杯過去10年のキャリア別成績】

表1は京成杯過去10年のキャリア別成績。1戦の馬が昨年のソールオリエンスら4勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。この組の3着以内馬8頭中6頭は近5年に集中しており、1戦で臨んで好走しているケースが増えている。1戦の馬における前走上がり3ハロンの順位別成績では、前走上がり1位だった馬が複勝率54.5%と非常に高い。前走上がり2位の馬も2勝をあげており、これら前走上がり2位以内に注目だ。

キャリア2戦の馬は1勝のみ。3戦の馬は4勝をあげ、複勝率でも1戦の馬に次ぐ28.2%と高い。4戦の馬は複勝率25.0%も、5戦以上になると3着1回のみと苦戦傾向にある。

前走1勝クラスでは葉牡丹賞組に注目

■表2 【京成杯過去10年の前走クラス別成績】

表2は前走クラス別成績。表1で示したキャリア1戦の馬はすべて前走新馬戦組で、クラス別でもトップだ。前走重賞組は前走G1組の複勝率30.0%が優秀で、G2組・G3組は低調。前走オープン特別組も16年プロフェットの1勝のみで、連対率・複勝率20.0%。
出走数が最も多いのが前走1勝クラス組だが、好走馬の前走レースは葉牡丹賞エリカ賞に限られている。なかでも葉牡丹賞組は18年ジェネラーレウーノら2勝をあげており、連対率44.4%・複勝率55.6%と非常に高い。この組の好走馬5頭はいずれも前走葉牡丹賞で連対を果たしていた京成杯と同コースを経験しているアドバンテージが大きいのだろう。

前走1着で継続騎乗の馬が5勝

■表3 【京成杯過去10年における前走から継続騎乗or乗り替わりの比較】

表3は騎手が前走から継続騎乗か乗り替わりかの比較で、継続騎乗の場合は前走の着順別成績も示している。継続騎乗の馬が大半の8勝をあげており、特に勝率は乗り替わりの馬を大きく上回っている。継続騎乗の馬の前走着順別成績では、前走1着馬が21年グラティアスら5勝をあげ、複勝率36.7%と優秀、単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。なお、乗り替わりの馬は昨年のソールオリエンスら2勝で、2・3着が各7回と多い。

前走新馬戦1番人気1着馬を探せ

■表4 【京成杯過去10年の前走人気別成績】

最後に表4は前走人気別成績。前走1番人気馬が19年ラストドラフトら3勝をあげ、複勝率は45.0%と高い。前走1番人気馬のキャリア別成績では、前走新馬勝ちしたキャリア1戦の馬が全3勝をあげており、複勝率55.6%と優秀だ。2戦の馬も2着3回で、連対率・複勝率50.0%となっている。

前走2番人気以下からも好走馬が出ているが、連対率・複勝率で前走1番人気馬に差をつけられている。

【結論】

新馬戦を1番人気かつ上がり最速で勝利したバードウォッチャーが筆頭

■表5 【今年の京成杯の注目馬】

表5は1/11時点

今年の京成杯の出走予定馬で前走重賞組はエコロマーズ(前走サウジアラビアRC5着)とダノンデサイル(ラジオNIKKEI賞京都2歳S4着)の2頭のみ。ともに前走G3組で表2のデータからすると重視できない。

前走新馬戦で1番人気かつ上がり最速で勝利したバードウォッチャーを一番手で推奨したい。前走は東京芝1800mの新馬戦で、ルメール騎手が騎乗して勝利。今回も継続してルメール騎手が騎乗予定で、2戦目での重賞制覇に期待したい。

もう一頭推奨したいのはマイネルフランツ。表2で示した好相性の前走葉牡丹賞組で、その葉牡丹賞では2着に入っている。勝利したトロヴァトーレは強かったが、中団から上がり2位タイの脚で混戦の2着争いから抜け出している。馬券的な妙味では最も面白い一頭だ。

 

 

 

 

競馬あれこれ 第160号

今年は6日に開幕! 

 

中山金杯を分析する

チーム・協会

【データ分析】

例年より1日遅れとなる1月6日に開幕する今年の中央競馬。その6日には中山で中山金杯、京都では京都金杯の2重賞が行われる。京都金杯は4年ぶりの京都開催となるため、今回は過去10年すべて中山で行われている中山金杯にスポットを当てたい。ここで好発進を切るのはどの馬か、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去の傾向から分析してみよう。

勝馬は5番人気以内

■表1 【人気別成績】

過去10年の人気別では、1番人気が【4.1.3.2】複勝率80.0%の好成績。ほかに3、4番人気馬が各2勝を挙げるなど勝馬はすべて5番人気以内から出ており、6番人気以下の優勝は2006年(ヴィータローザ・7番人気)までさかのぼる。また2着馬は8番人気以内、3着馬は11番人気以内で、人気が下がれば下がるほど上位には食い込みづらくなっている。

4・5歳馬、前走2000m出走馬が好成績

■表2 【年齢別、前走距離別成績】

年齢別では4、5歳が勝率11%前後、連対率22%前後、複勝率29%前後で拮抗している。また、前走距離別では本競走と同じ2000m戦に出走していた馬の好走確率が高い。この双方を満たす「4、5歳の前走2000m戦出走馬」は【4.5.3.16】複勝率42.9%。さらに「前走5着以内」の条件も加えると【4.5.3.6】同66.7%となるため該当馬がいれば見逃せない。

前走3勝クラス組が好成績も、今年はG3組に注目

■表3 【前走クラス別成績(2018年~)】

過去10年の本競走では前走金鯱賞(11~12月)出走馬が【2.1.0.4】連対率42.9%を記録していたが、同レースは2017年より春へと移動。またこの年からチャレンジCが芝1800mのハンデ戦から芝2000mの別定戦へと変わるという大きな変更があった。そのため表3~表5はその翌年にあたる2018年以降のデータを見ていきたい

表3は前走クラス別成績。3勝クラス組が【2.1.2.7】複勝率41.7%の好成績を残しているが、この組は前走芝2000m組【2.1.2.2】に対し、他の距離だった組は【0.0.0.5】。今年の登録馬には前走で3勝クラスの芝2000m戦に出走していた馬がいないため、芝2000mのG3に出走していた馬を中心視したい。

G3組はチャレンジC組が有力

■表4 【前走G3からの好走馬(2018年~)】

表4は前走G3からの好走馬で、6頭中5頭はチャレンジC組から出ている。このチャレンジC組は2018年以降【1.2.2.8】複勝率38.5%、中でも同レース5着以内馬なら【1.2.1.2】同66.7%と優秀だ。その他では福島記念組が【0.1.0.7】、中日新聞杯組は【0.0.0.13】と苦しい。前走チャレンジC以外から唯一好走したウインブライトは、前走の福島記念で2000mの重賞勝ち、そして5走前のスプリングSでは中山の重賞勝ちも収めていた。

G1組は前走着順不問

■表5 【前走G1・G2・オープン特別からの好走馬(2018年~)】

最後に表5は前走G3と3勝クラス以外(G1・G2・オープン特別)からの好走馬である。過去10年の中山金杯では4、5歳馬が好成績を残しているが(表2)、2018年以降に前走オープン特別から好走した3頭はいずれも6、7歳馬。そして前走3番人気以内かつ5着以内で共通している。この「6、7歳」で「前走オープン特別3番人気以内かつ5着以内」を満たす馬は【1.1.1.2】になるが、今年は該当馬不在だ。

よって今年はG3組以外ならG1~G2組。G1組は前走着順不問。G2組は好走馬が1頭しかいないが、過去10年の好走馬4頭中3頭は前走4着以内だった。またG1~G2組の好走馬4頭のうち、4歳の2頭は福島のラジオNIKKEI賞勝馬で、5歳以上の2頭は中山の重賞勝ち馬。直線が短いコースでの重賞実績がチェックポイントになりそうだ。

【結論】

チャレンジC4、5着のエピファニーマテンロウレオが有力

表2本文で触れたように、中山金杯は前走2000m戦で5着以内だった4、5歳馬が好成績を残している。今年はG3・チャレンジCで4、5着だった5歳馬、エピファニーマテンロウレオが有力だ(表4)。どちらも表1で優勝馬が出ている5番人気以内に支持されそうな点もプラス材料になる。少し穴っぽいところから1頭挙げれば、前走・秋華賞で7着だったエミュー。中山での重賞優勝実績(フラワーC)を持つ前走G1組で、そのG1組なら前走着順は不問だ(表5)。

 

 

 

 

 

競馬あれこれ 第159号

ホープフルS】史上初の牝馬Vレガレイラ、来春皐月賞でも快挙なるか一躍有力候補に

チーム・協会

ルメール騎手騎乗の1番人気レガレイラが牝馬では史上初めてとなるホープフルステークス優勝 

 JRAの1年の最後を締めくくる2歳限定のGIレース、第40回ホープフルステークスが12月28日、中山競馬場2000m芝で行われ、クリストフ・ルメール騎手騎乗の1番人気レガレイラ(牝2=美浦・木村厩舎、父スワーヴリチャード)が優勝。後方から大外一気の末脚で2歳中距離チャンピオンの座に就いた。良馬場の勝ちタイムは2分00秒2。

 レガレイラは今回の勝利でJRA通算3戦2勝、重賞は初勝利。ルメール騎手はホープフルステークスがGIレースとなってからは初勝利となり、これがJRA・GI通算50勝目。管理する木村哲也調教師は同レース初勝利となった。

 なお、3/4馬身差の2着にはバウルジャン・ムルザバエフ騎手騎乗の2番人気シンエンペラー(牡2=栗東・矢作厩舎)、さらに2馬身差の3着には菅原明良騎手騎乗の13番人気サンライズジパング(牡2=栗東・音無厩舎)が入った。

ルメール騎手&木村厩舎から新星登場

後方からの競馬となったものの最後の直線、レガレイラは大外から一気の伸び脚を見せた 

 2023年のJRA競馬を締めくくったのは、イクイノックスで世界のホースマンにも衝撃を与えたルメール騎手と木村哲也厩舎コンビが送りだす新星、牝馬のレガレイラだった。直線早めに先頭に躍り出た凱旋門賞馬の弟・シンエンペラーがそのまま押し切ろうかというゴール前、大外から矢のように飛んできた。

「直線に向くまでは道中スムーズでしたけど、前の馬がフラフラしていて進路を決められませんでした。でも、大外に出してからはすぐに良い反応をしてギアアップしてくれた。すごくビックリしましたね。良い脚でした」

 後方3番手から牡馬をまとめてナデ斬り。このレースで牝馬が優勝するのはホープフルステークスがGIレースとなった2017年以降ではもちろん初めてのことであり、前身のラジオたんぱ杯3歳ステークス時代を含めても、牝馬限定だった1990年以前を除けば史上初の快挙だ。2歳にして歴史に名を刻んだ1頭となったレガレイラではあるが、その将来性についてもルメール騎手は太鼓判を押している。

「(木村調教師とは)『来年が楽しみだね』と話をしました。やっぱりこの馬の伸びしろはまだまだあると思います。距離も持つし、能力もある。この冬の間に体が大きくなったらすごく良い馬になります」

 一方、今回の後方一気は「プランではなかったです」と鞍上が振り返ったように、スタートではダッシュがつかずに出遅れ。ゲートで待たされたがことが一つの原因ではあったわけだが、木村調教師によれば「普段からの彼女自身の所作としてドッシリ構えることがまだできていない」ことからスタートに関してはレース前から心配していたという。ただ、いったん走り出してしまえば「非常に良いフットワークですし真面目。集中力高く走ってくれる」とトレーナー。ルメール騎手も道中の走りに関しては「冷静に走ってくれたし落ち着いていました」と話しており、レガレイラの競馬に対する真面目さ、集中力の高さが、名手も「ビックリした」というギアアップと末脚の威力を引き出したのだろう

オーナーサイドは皐月賞挑戦に前向き

来春の目標レースについてオーナーサイドは皐月賞挑戦への前向きなコメントを出している 

 ゲートという課題は残しているものの、新たなクラシック候補性として世代のトップに躍り出たレガレイラ。しかも、ホープフルステークスを勝った初めての牝馬というだけに、来春はどのようなローテーションを歩むのかは非常に気になるところでもある。

「明け3歳になってどこから使い出すかは未知数です。ただ、今日のレースを使ったことで疲労回復に関してはかなり尾を引くと思っているので、それは慎重に精査しなければいけない。それこそ牝馬で初めてホープフルステークスを勝たせていただきましたが、3歳になっても『こうあるものだ』というローテーションで行くのはそんなにしない方がいいのではないかなと思っています。まずはしっかり疲れを取ることが大事だと思っています」

 木村調教師が語った来春の展望はあくまでレガレイラの体調を最優先したローテを組むということ……なのだが、「『こうあるものだ』というローテーションではない方がいい」、というコメントだけに着目するとどうしても、阪神ジュベナイルフィリーズには目もくれずホープフルステークスに向かったように、来年の春クラシックでも阪神マイルの桜花賞をパスして今回と同じ中山2000m芝の皐月賞、そして日本ダービーにチャレンジするのでは――そんな期待感も高まってくる。

 それを裏付けるように同馬のオーナーである(有)サンデーレーシング吉田俊介代表が皐月賞参戦へ前向きなコメントを出したのは各種報道の通りだ。

2024年春のクラシックは一層興味深いものになった

レガレイラの登場で2024年春クラシックが一段と楽しみになってきた 

 一方でルメール騎手は「強い馬がいたら牝馬のレースの方がいいと思います。でもそれは僕じゃなくて、関係者が決めること。同じメンバーだったら皐月賞、ダービーでもと思いますが、新しい馬がこれから出てくると思うからまだ分からないですね」と慎重姿勢ではあるのだが、このあたりについては今後、サンデーレーシング、調教師、ジョッキーらの間でどのような結論となるのか、そのローテーションも含めて楽しみに待ちたい。

 レガレイラは来年の春も中山2000mに降り立ち再び牡馬を相手に躍動するのか、それとも後塵を拝したシンエンペラーら牡馬勢が意地を見せるのか、あるいはルメール騎手が言うように「新しい馬」がこれから続々と登場するのか。いずれにしても、牡馬クラシックでも勝負になるポテンシャルを持った牝馬が登場したことで2024年の春クラシックは一層興味深いものになった。もしレガレイラが皐月賞を勝てば、牝馬の優勝は1947年トキツカゼ、1948年ヒデヒカリ以来、史上3頭目の快挙となる。

 

 

 

 

競馬あれこれ 第158号

有馬記念武豊「忘れられないレースになった」ドウデュースと人馬一体で劇的復活V

チーム・協会

武豊騎手とドウデュースが有馬記念を優勝、人馬ともに劇的な復活勝利となった 

 第68回GI有馬記念が12月24日、中山競馬場2500m芝で行われ、武豊騎手騎乗の2番人気ドウデュース(牡4=栗東・友道厩舎、父ハーツクライ)が優勝。後方待機から2周目3コーナーの大外を捲っていくと、最後の直線も力強く伸びて人馬ともに劇的な復活勝利を飾った。良馬場の勝ちタイムは2分30秒9。

 ドウデュースは今回の勝利で通算12戦6勝(うち海外2戦0勝)、GIは2021年朝日杯フューチュリティステークス、22年日本ダービーに続く3勝目。騎乗した武豊騎手は1990年オグリキャップ、06年ディープインパクト、17年キタサンブラックに続く有馬記念4勝目、管理する友道康夫調教師は同レース初勝利となった。

 半馬身差の2着にはクリストフ・ルメール騎手騎乗の7番人気スターズオンアース(牝4=美浦・高柳瑞厩舎)、さらに1馬身差の3着には横山和生騎手騎乗で今回がラストレースとなった6番人気タイトルホルダー(牡5=美浦・栗田厩舎)が入線。1番人気に支持された横山武史騎手騎乗のジャスティンパレス(牡4=栗東・杉山晴厩舎)は3着からアタマ差の4着に敗れた。

「『大丈夫かな』と弱気になった時期も正直ありました」

復帰を待ち続けた友道調教師(右)とその気持ちに応えた武豊騎手、レース後にがっちりと握手を交わした 

やっぱり、競馬はいいなって思います

 クリスマスイブの中山競馬場に駆けつけた5万3千人の大観衆を前に、噛みしめるようにして言葉をマイクに乗せた武豊騎手。その瞬間、大歓声が沸き起こった。今年の有馬記念を見て、武豊騎手が語った言葉と同じ気持ちにならなかった人はいないだろう。競馬が持つドラマと醍醐味の全てがまとめて凝縮された、日本競馬史に残る名レースだったと断言していい。

「GIを勝つといつも嬉しいのですが、今回は格別ですね。色々な思いがあってレースに挑みましたし、とても大きい1勝です。忘れられないレースになると思います」

 ジョッキー自身、通算81勝目を数えるGI勝利の中でも特別な1勝となった第68回有馬記念。ただ勝った、というだけではない。武豊騎手とドウデュース、このコンビで復活の勝利に到達するまで……いや、スタートラインのゲートにたどり着くまでの2カ月間、大きな山と谷をいくつも越えてきた。

「自分の足の状態がなかなか上がって来ない時期もあって、『大丈夫かな』と弱気になった時期も正直ありました」

励まし、支え、復帰を待ち続けた友道厩舎…それらの全てが後押しに

3コーナー過ぎから一気の大外捲り、最後まで勢いを持続し先頭でゴールを駆け抜けた 

 武豊騎手が騎乗馬に右足を蹴られる負傷というまさかのアクシデントに襲われたのは天皇賞・秋の約3時間前のことだった。これにより武豊騎手は戦列を離れることになり、ドウデュースも戸崎圭太騎手と急遽コンビを組むことになったものの天皇賞・秋は7着、ジャパンカップも4着と末脚不発で2連敗。春のドバイで走れなかった分まで“逆襲の秋”となるはずが、一転、不完全燃焼のまま冬を迎えることとなってしまった。さらに、当初ジャパンカップで復帰と伝えられた武豊騎手の右足の回復も遅れたことで、年末グランプリに向けた復活ロードも決して明るいものではなかっただろう。

「でも、有馬記念でドウデュースに乗りたいという気持ちがあったので出来る限りを尽くして、本当に色々な人の励ましと協力を得て、何とか間に合いました。本当に、今日は僕自身の状態もすごく良くて、きっちり間に合ったなと思いました」

 先週17日の朝日杯FSでのレース復帰が正式に決まり、それに合わせて13日の1週前追い切りにも騎乗。待望の主戦を背に迎え、抜群のフットワークでウッドチップを跳ね上げるダービー馬を見た友道調教師は「この1週前から動きが違っていた」と感じたという。復活の序章が動き始めた瞬間だった。そして、有馬に間に合うかどうかも不透明の中、ドウデュースの背中を空け続けて待っていた友道厩舎の気持ちにも応えたい――そうした思いも武豊騎手の心に火をつけていた。

「普通ならジョッキーがケガで乗れるかどうか分からない状態の時というのは、陣営もスタッフも不安になって他のジョッキーを確保するということが多いのですが、本当に最後まで『乗れるのなら乗ってくれ』というその姿勢がすごく嬉しかった。それが後押しになりましたね」

「今日は本当にドウデュースの力が大きかった」

有馬記念初勝利となった友道調教師(右から2人目)は「武豊騎手で勝てたのが嬉しい」と喜びを語った 

 そうして迎えたレースは後方から。「本当に手がしびれるかと思いました」と冗談交じりに振り返ったほど1周目のドウデュースは前進気勢を強く出していたが、そこは2月京都記念以来、久々の実戦騎乗とは言えドウデュースの全てを手の内に入れている武豊騎手だ。

「前半からかなり行きたがって抑えるのに苦労しましたが、何とか落ち着かせてラストにかけようと思っていました」

 逃げたタイトルホルダーが2周目の向こう正面からペースアップして後続を突き放しにかかる中、ただ1頭、ドウデュースだけが後方3番手の外からリズム良くポジションを上げていく。1頭、また1頭と飲み込んでいき、直線入り口にかかるころにはもう目の前にいるのはスターズオンアースとタイトルホルダーの2頭だけだった。

「(3コーナーからは)思い描いていた通りのレースプラン。4コーナーの勢いが良かったので、その勢いのまま先頭に立って、あとは何とか我慢してくれてという感覚でした。3コーナー過ぎで進出を開始した時は本当に“しびれる”ような手応えでしたね」

 誰よりも早くゴール板を駆け抜けたドウデュース、ステッキを握りしめた右手をグッと掲げた武豊騎手、怒涛のような歓声。あまりにも劇的な人馬一体の復活劇であり、競馬の神様はとんでもないクリスマスプレゼントを競馬ファンに、そして武豊騎手とドウデュースに届けたものだ。

「ドウデュースがあっての僕です。今日は本当にドウデュースの力が大きかったですね。良い馬に巡り合って、改めて今日は本当に幸せなジョッキーだなと思いました」

 そして、大きなプレゼントを届けられたのは友道厩舎スタッフももちろん同じ。これが有馬記念初勝利となった友道調教師にとってもまた、忘れられない1勝となっただろう。

有馬記念はこれまで3着が最高でしたが、武豊騎手で勝てたことが嬉しい。ダービーもそうでしたが、武豊騎手でGIを勝つことがやっぱり一つの夢でしたので純粋に嬉しい気持ちでいっぱいです」

2024年は3度目の海外遠征へ、忘れ物を取りに行く

ライバルが引退していく中、ドウデュースはここからが新たなスタートになる 

 まさに大団円、1年を締めくくるにふさわしいレースだった2023年グランプリ。しかしながら、ただただ喜びに浸ってばかりではなく、陣営はこの勝利をステップに2024年の青写真をもう描き始めている。友道調教師はジョッキーの下馬直後にこんな話をしたと明かした。

「漠然とですけど、『また来年行こうよ。忘れたものを取りに行こう』という話をしました。たぶん、フランスだと思います」

 武豊騎手も「もともと世界レベルの馬だと思っていますし、フランス、ドバイと悔しい思いをしているので、来年こそはという思いです」と、3度目の海外挑戦へ気持ちは固まっているようだ。

 同世代最強のライバル・イクイノックスがすでにターフを去り、1つ年上のタイトルホルダーもこのレースを持って現役に別れを告げることになった。この時期はどうしても寂しさが募るものだが、ドウデュースはここからがまた新たなスタート。武豊騎手との黄金コンビで日本、そして世界を縦横無尽に駆け巡る2024年の競馬を想像するとワクワクが止まらなくなる。

 

 

 

 

競馬あれこれ 第157号

有望2歳馬が集結! 

1年最後の中央G1・ホープフルSを分析する

 
チーム・協会

【データ分析】

中央競馬で1年最後のG1といえば、いまやホープフルS。昨年は14番人気のドゥラエレーデが制して大波乱となったが、今年はどのような結末が待っているのだろうか。G1に昇格した2017年以降、過去6年のデータ分析から有望と思われる馬を紹介したい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

前走1、2着馬が好走の大半を占める

■表1 【前走着順別成績】

過去6年のホープフルS1~3着馬18頭のうち14頭は「前走1着」。ただし、前走1着でも新馬戦だと【0.0.1.10】、未勝利戦も【0.0.0.14】と苦戦している。言い換えれば、「前走1着」の好走馬14頭中13頭の前走は重賞・オープンか1勝クラスということになる。「前走2着」も侮れない成績だが、今年は該当する登録馬がいない。「前走3着以下」の好走は1頭のみ。その1頭が昨年のドゥラエレーデ(前走東京スポーツ杯2歳S4着)というのは無視できない事実ながら、前走2着馬がいない今年、まずは前走1着馬を重視するのがセオリーではあるだろう。

前走芝1800m組が芝2000m組を凌駕

■表2 【前走距離別成績】

次に前走の距離別成績をチェック。前走芝2000mが54頭、前走芝1800mが28頭で、この2つの合計が全体の9割を超える。この両者を比較すると、好走率、回収値ともに前走芝1800mが優位に立っている。

前走芝1800mで上がり1位が好成績

■表3 【前走上がり順位別成績】

続いて前走の上がり順位に関するデータを調べると、前走芝1800mと2000mでそれぞれ異なる傾向が出ている。前走芝1800mの場合、そこで上がり1位だとかなりの好成績。上がり2位もなかなか優秀だ。しかし、上がり3位および4位以下の好走例は1頭のみ。なお、この1頭は昨年のドゥラエレーデである。前走芝2000mの場合、ホープフルSの好走は前走上がり1~3位に限られ、その中でも上がり1位は連対例がなく、上がり2位や3位のほうが連対率、複勝率が高いことに注目したい。

異なる距離で1着実績を持つ馬に注目

■表4 【距離に関する1着実績別成績】

距離に関する1着実績を調べた(表4の集計対象は中央戦のみ)。過去の1着が「芝1800mのみ」と「芝2000mのみ」を比較すると、好走率が高いのは前者だ。先に確認した前走芝1800mが好成績の傾向にも沿っている。しかし、この「芝1800mのみ」より高い連対率、複勝率を記録しているのが「芝・異なる距離」だ。なお、このデータは「芝1600mと2000m」「芝1800mと2000m」など、距離の組み合わせを問わないものである。キャリアの浅い馬ばかりなだけに、異なる距離の1着実績が経験としてアドバンテージになるのかもしれない。

好走馬の半数は2戦2勝馬

■表5 【実績別成績】

2歳G1では無敗やオール連対のまま出走する馬も多い。そこで調べたデータが表5。まずわかるのは、「2戦2勝」でホープフルSに出走すると有望ということ。「1戦1勝」は前走新馬戦1着と同義で、これは苦戦。「連対率100%」はまずまずの成績だが、「複勝率100%」では物足りないことも見て取れる(注:「連対率100%」と「複勝率100%」のデータに無敗馬は含まない)。意外に侮れないのが「その他」で、近2年は各2頭、計4頭が好走している。言い換えれば、4着以下に敗れたレースもいい経験になっている可能性はある。

【結論】

前走の着順・距離・上がりに注目!

登録馬22頭のうち前走1着が13頭いて、前走が新馬戦、未勝利戦、ダートだった馬を除くと5頭が残る。その5頭のうち、まずは2戦2勝の3頭から見ていこう。

シンエンペラーは、芝1800mの新馬戦、芝2000mの京都2歳Sと異なる距離で勝ってきた点も強調できる。気になるのは前走芝2000mで上がり4位という点だが、京都2歳Sは上がり1位タイが3頭いて、そこから0秒1差の4位。実質2位と考えれば、前走芝2000mとしてベストの上がり順となる。ヴェロキラプトルは芝1800mで2戦2勝。前走芝1800mで上がり1位という好走率が非常に高いデータにも合致している。ゴンバデカーブースは芝1600mで2戦2勝。表4によると、1着実績が芝1600mのみの馬は【0.1.0.5】とやや苦戦しており、このデータを覆したい。

無敗ではない2勝馬は2頭おり、異なる距離の1着実績を持つシリウスコルトは興味深い存在。センチュリボンドは1着実績が芝2000mのみだが、前走芝2000mで上がり2位だった点はいい。

前走1着馬以外では、前走芝1800mで上がり1位を記録したショウナンラプンタとレガレイラにも触れておきたい。ショウナンラプンタは昨年のドゥラエレーデと同じ東京スポーツ杯2歳Sの4着馬で、レガレイラはルメール騎手が騎乗予定。どちらも抽選を突破すれば注目する価値はあるだろう。

 

 

 

 

競馬あれこれ 第156号

今年も3歳牡馬が有力か!? 有馬記念を分析する

 
チーム・協会

【Photo by JRA

今年もいよいよ有馬記念の日が迫ってきた。絶対王者のイクイノックスが引退し、牝馬三冠馬リバティアイランドが不在というメンバー構成だが、その分たくさんの馬に勝つチャンスがある一戦になりそうだ。今年のクラシックを制したタスティエーラやソールオリエンス、天皇賞(春)を勝ったジャスティンパレス凱旋門賞で4着と善戦したスルーセブンシーズ、前走ジャパンC3着のスターズオンアースあたりが人気を集めるだろうか。有馬記念の過去傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析してみたい。

3歳が強く、6歳以上は不振

■表1 【有馬記念の年齢別成績、過去10年】

過去10年の年齢別成績を調べたところ、3歳が勝率16.0%、連対率28.0%、複勝率36.0%と最も優秀だった。一方、6歳以上は3着がわずか1回と不振傾向。4~5歳の成績は悪くないものの、3歳に比べると好走率は低かった。

1番人気の3歳馬は3戦3勝

■表2 【有馬記念の3歳馬人気別成績、過去10年】

3歳馬の人気別成績を調べたところ、1番人気が3戦3勝だった。1~3番人気の複勝率は62.5%。1~5番人気でも複勝率は58.3%と優秀であり、基本的に上位人気に支持された馬の成績が良い。対照的に6番人気以下は厳しく、10番人気以下は好走例がなかった。

古馬は前走JCか凱旋門賞天皇賞(秋)

■表3 【有馬記念の4歳以上・前走レース別成績(一部)、過去10年】

4歳以上の前走レース別成績を調べたところ、ジャパンC凱旋門賞天皇賞(秋)組から多数の好走馬が出ていた。その他ではエリザベス女王杯組が3頭、コックスプレート(豪G1)組が1頭と、基本的に前走G1組から好走馬が出ている。

前走JC・凱旋門賞天皇賞(秋)組も人気馬が強い

■表4 【4歳以上の前走JC・凱旋門賞天皇賞(秋)組の人気別成績、過去10年】

4歳以上の前走JC・凱旋門賞天皇賞(秋)組を調べたところ、1番人気が【3.1.1.2】で複勝率71.4%だった。2、3番人気の勝率・連対率は良くないが、複勝率は良い。1~3番人気と、1~5人気の成績を比較するとあまり差は感じられないので、5番人気以内に支持されていれば有力とみたい。一方、6番人気以下の成績は不振。結局、4歳以上も前走JC・凱旋門賞天皇賞(秋)といった主流路線を歩んでいる場合は、基本的に人気馬だけが好走している。穴馬の激走はほとんど見込めない、と考えるべきだろう。

【結論】

今年も3歳牡馬に注目!

過去10年、3歳で有馬記念を勝利したのは16年サトノダイヤモンドなど4頭。前走で天皇賞(秋)を勝利していた21年エフフォーリアや22年イクイノックスに比べると、タスティエーラやソールオリエンスの成績は見劣るかもしれないが、古馬で図抜けた実績馬は見当たらないので、今年も3歳牡馬にチャンスがあるとみる。

タスティエーラソールオリエンスのクラシック成績はほぼ互角。優劣をつけるのは本当に難しいが、菊花賞で2着と先着し、上がり3ハロンも上回っていたタスティエーラを一応上位に取る。また、有馬記念で3歳馬が複数頭出走した場合は、たいてい人気上位の馬が先着している(23年は1番人気イクイノックスが1着、6番人気ボルドグフーシュが2着)という傾向もあるので、実際の人気を見てからまた考えてみたい。

4歳以上の馬は前走JC3着のスターズオンアース凱旋門賞4着のスルーセブンシーズ天皇賞(秋)2着のジャスティンパレスと、主要の3路線から有力馬が出てきた。レース当日の人気はどうなるかわからないが、いずれの馬もある程度支持を集める可能性が高そう。よって、この3頭が有力な相手候補だ。

 

 

 

 

 

競馬あれこれ 第155号

関連度合いが高い前走コースは? 朝日杯FS分析

チーム・協会

【Photo by JRA

先週の阪神JFと同じ阪神芝1600mで今週は朝日杯FSが行われる。一昨年は後に日本ダービーを制するドウデュースが優勝。マイル路線のみならず、来年のクラシック戦線を見据えても注目の一戦だ。今回は阪神開催となった2014年以降・過去9回のレース傾向から今年馬券で狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

上位3番人気以内では前走1600m組が好成績

■表1 【朝日杯FS過去9年の人気別成績】

表1は朝日杯FS過去9年の人気別成績。1番人気馬が昨年のドルチェモアら最多の4勝をあげており、連対率66.7%・複勝率88.9%と高い。2番人気馬は18年アドマイヤマーズら2勝をあげ、複勝率66.7%。3番人気馬は一昨年のドウデュースが勝利し、複勝率44.4%。上位3番人気以内の好走馬が多いことが大きな特徴といえる。

これら上位3番人気以内の前走距離別成績では、出走数が多い前走1600m組が連対率52.6%・複勝率73.7%と高い。前走2000m組は15年リオンディーズが優勝している。

なお、4番人気以下では6・7番人気馬が1勝ずつ。近2年の3着以内馬はいずれも4番人気以内と堅めだが、過去9年中6年は6番人気以下の伏兵が1頭は好走している。

好走馬はキャリア4戦以内、前走マイル組に注目

■表2 【朝日杯FS過去9年のキャリア別成績】

表2はキャリア別成績。勝ち馬を含めて3着以内馬はすべて4戦以内の馬だった新馬戦を勝ったばかりの1戦の馬は出走数が少ないものの、複勝率40.0%。以下、キャリアが多くなるにつれて、勝率・連対率・複種率いずれも下降傾向にある。

これら4戦以内の馬の前走距離別成績でも前走1600m組が過半数の6勝をあげ、複勝率31.5%でトップ。ここでも前走1600m組の優位性が見てとれる。

前走東京芝1600m戦1着馬は複勝率100%

■表3 【前走1着馬の前走コース別成績(過去9年)】

表3は出走馬の半数以上を占める前走1着馬の前走コース別成績。前走1着馬は【9.5.7.58】で、すべての勝ち馬を含め3着以内数は21頭と多い。この中で前走東京芝1600m組は昨年のドルチェモアら過半数の5勝をあげ、該当馬9頭すべてが3着以内に入っている。左回りから右回りの変化はあっても、同じ直線が長い1600mということで非常に関連性が高く、成績が直結している。ちなみに先週の阪神JFでも前走東京芝1600mの赤松賞を勝利していたステレンボッシュが2着と好走している。

東京芝1600m以外では京都・阪神・東京で前走1着だった馬が上位を占めており、中山や中京、ローカルからは好走馬が出ていない。

穴なら前走上がり最速の1着馬

■表4 【朝日杯FS6番人気以下の前走上がり順位別成績(過去9年)】

表4は朝日杯FSにおける6番人気以下【2.3.3.94】の前走上がり順位別成績。前走上がり1位の馬が20年グレナディアガーズら2勝をあげ、複勝率15.4%。好走した4頭はすべて前走上がり最速で勝利しており、該当馬は複勝率18.2%で単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。穴なら前走のクラスに関係なく、上がり最速で1着だった馬を狙っていきたい。

唯一の前走東京芝1600m勝ち馬オーサムストロークに注目

■表5 【今年の朝日杯FSの注目馬】

(表5は12/13時点)

上位3番人気以内に支持されるのは前走デイリー杯2歳S勝ちのジャンタルマンタル、前走東京スポーツ杯2歳S1着のシュトラウス、そして前走1勝クラスの秋明菊賞を勝利して2戦2勝のダノンマッキンリーの3頭だろう。

この3頭の比較では好成績の前走1600m組(表1)であるジャンタルマンタルを筆頭としたい。前走デイリー杯2歳Sは内ラチ沿いから抜け出して2馬身差の快勝。無傷の3連勝でのG1制覇の可能性も十分だ。

オーサムストロークは今回の出走馬中唯一の前走東京芝1600m1着馬(表3)。前走の1勝クラス・ベゴニア賞は勝ちタイムが1分37秒0と遅かったが、少頭数で超がつくスローペースだった。2走前の未勝利戦では緩みのない流れで逃げて5馬身差の完勝を決めている。前走の勝ち時計の遅さが嫌われるようなら逆に妙味がありそうだ。

表4で示した穴候補ではタガノエルピーダ。前走京都芝1600mの新馬戦では上がり最速の脚で差し切って、デビュー勝ち。牝馬でもレースセンスが高く、好走の可能性を秘めている。

 

 

 

 

競馬あれこれ 第154号

香港国際競走回顧】地元勢の強さは健在、日本勢は一歩及ばず

チーム・協会

香港カップではヒシイグアスが接戦を演じた 

現地時間12月10日、香港・シャティン競馬場で4つの国際レースが行われた。

香港ヴァーズ(G1)に出走を予定していたシャフリヤール(栗東藤原英昭厩舎)こそ回避となったものの、13頭の日本馬がここに挑戦した。

快晴で最高気温27度と汗ばむ陽気の中、行われた今年の香港インターナショナルレース。第2レース終了後には国際競走4つに騎乗するジョッキーがパドックで紹介され、その後、第4レースの香港ヴァーズ(G1、芝2400メートル)で幕が開けた。

日本勢全体でも最高位の2着となったゼッフィーロ(左) 

UAEからオーストラリア回りで参加のウエストウインドブローズが回避となり、8頭で行われたここに出走した日本馬はゼッフィーロ(牡4歳、栗東池江泰寿厩舎)、ジェラルディーナ(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)、レーベンスティール(牡3歳、美浦田中博康厩舎)の3頭。JRAだけでなく、現地でも圧倒的1番人気に推されたのがレーベンスティール。現地入り後、スクみが出たとの事で、追い切りは異例の金曜日となった。

ゲートが開くと地元のラシティブランシュがハナに立ち、前半1分18秒44という超スローペース。8頭がひと塊となった。日本勢はジェラルディーナが3番手のイン、真ん中にレーベンスティールがいてその後ろのインにゼッフィーロという位置取り。この遅い流れを我慢し切れないように3コーナー過ぎではウォームハートが2番手から先頭へ。アイルランドの伯楽A.オブライエン調教師が送り込んで来た名牝は、地元ヨーロッパでは57キロを背負ってヨークシャーオークス(G1)を、56キロでヴェルメイユ賞(G1)をいずれも優勝。今回の53キロは裸同然と思えた。同馬の進出に危機感を覚えたか、後方にいたジュンコの鞍上でM.ギュイヨン騎手が盛んに手を動かして大外から前との差を詰める。

日本勢は?というとジェラルディーナをかわしてレーベンスティールが3番手に上がったが騎乗しているJ.モレイラ騎手の手応えはあまり良く見えない。むしろ後方からインを突いたゼッフィーロは進路が開けば弾けそうな手応え。

直線ではウォームハートが一旦抜け出すのと対照的にレーベンスティールは早々に後退。かわって大外から上がって来たのがジュンコで、併せるようにその内から伸びたのがゼッフィーロ。結局その2頭がウォームハートをかわしたが、ジュンコの脚色が優り、真っ先にゴール。勝ち時計は2分30秒12で、1馬身差の2着がゼッフィーロ。更に2 1/4馬身遅れた3着にはウォームハートが粘り込んだ。

勝ったジュンコはフランスで30回のリーディングトレーナーの座に輝くA.ファーブル調教師の管理馬。以前は中距離を中心に使われていたが、2400メートル戦線に路線を変更してから安定感が増し、前走のバイエルン大賞(G1)に続くG1連勝。戦前は持ち時計がない点で、欧州の重い馬場向きと評価する声も聞こえたが、2400メートル路線はやはりヨーロッパ勢が強いところを証明する結果となった。

ジェラルディーナは4着で、レーベンスティールはまさかの最下位8着。これが実力とは思えず、やはりレース前に順調さを欠いたのが響いたのかもしれない。

香港スプリントは香港勢が5位までを独占した 

第5レースは香港スプリント(G1、芝1200メートル)。地元香港勢が圧倒的に強いこの路線に果敢に挑んだ日本馬はマッドクール(牡4歳、栗東池添学厩舎)とジャスパークローネ(牡4歳、栗東森秀行厩舎)。

ゲートが開くと予想通りビクターザウィナーが抜群のスタートを決めハナへ。しかし、それをかわして日本のジャスパークローネが先頭に立って逃げる形。2番手にビクターザウィナーで、その少し後ろに1番人気のラッキースワイネス。春の短距離王決定戦であるチェアマンズスプリントプライズ(G1)の勝ち馬だ。マッドクールはその後ろで、昨年の覇者ウェリントンは更に後ろという展開。

直線に向くとジャスパークローネを捉えてビクターザウィナーが先頭に。ゴールまで300メートルを切って同馬が一度抜け出しにかかるが、その後ろに上がって来たのがラッキースワイネスで、更に後方からインを突いて上がって来たのがこれも地元のラッキーウィズユー。最後はビクターザウィナーの脚が上がり、ラッキースワイネスとラッキーウィズユー、そしてウェリントンがかわし、そのままの着順でゴールイン。勝ち時計は1分9秒25。

ラッキースワイネスは実績馬だが、2着のラッキーウィズユーは条件戦から果敢に挑戦して来た馬。それが2着する事でこのカテゴリーの香港勢の強さが改めて示された。ちなみに日本勢はジャスパークローネが7着でマッドクールは8着に敗れた。

ゴールデンシックスティが史上2頭目となる香港国際競走における同一レース3勝の快挙を達成 

1レースあけて第7レースで行われたのが香港マイル(G1、芝1600メートル)。ここにはセリフォス(牡4歳、栗東中内田充正厩舎)、ソウルラッシュ(牡5歳、栗東池江泰寿厩舎)、ダノンザキッド(牡5歳、栗東安田隆行厩舎)、ディヴィーナ(牝5歳、栗東友道康夫厩舎)、ナミュール(牝4歳、栗東高野友和厩舎)と5頭もの日本馬が参戦。地元馬6頭に匹敵するこれら日本勢の他、アイルランド 、フランス、シンガポールからの参戦もあり、国際色豊かな14頭がマイル王を競った。

1番人気はゴールデンシックスティ。ここ3年、当レースで1、1、2着。2年ぶり3度目の優勝を目指す同馬は、春にはチャンピオンズマイル(G1)を制覇。依然王者として君臨しているが、今回はそれ以来、約7ヵ月半ぶりの実戦がどう出るか注目された。

スタートが切られるとフランスのトリバリスト、アイルランドのカイロ、これに加え昨年の覇者カリフォルニアスパングルらが先行争い。ダノンザキッドがすぐその後ろ。ゴールデンシックスティは中団で、その後ろにディヴィーナ、セリフォス、ソウルラッシュ、ナミュールといった日本勢が続いた。

直線に向き、外から先頭争いに上がって来たのがゴールデンシックスティ。4コーナーを回り切ったあたりで少し内にササるシーンがあり、一瞬モタついたが、そこからエンジンがかかると一気に加速。直線半ばでは完全に抜け出すと、1分34秒10の時計で真っ先にゴールに飛び込んだ。

1馬身半差の2着には好位を上手く立ち回ったヴォイッジバブル。ナミュールとソウルラッシュが最後に追い上げて3、4着となった。

「この馬のモンスターぶりを改めてお見せ出来て、僕も感動しています」

8歳となったゴールデンシックスティを、またも戴冠に導いたC.ホー騎手は嬉しさの中にも安堵を感じさせる表情で、そう語った。

史上2頭目香港カップ連覇を果たしたロマンチックウォリアー 

4つの国際レースの中でもメインとして行われたのが第8レースに組まれた香港カップ(G1、芝2000メートル)。

こちらの日本馬はヒシイグアス(牡7歳、美浦堀宣行厩舎)、プログノーシス(牡5歳、栗東中内田充正厩舎)、ローシャムパーク(牡4歳、美浦田中博康厩舎)の3頭。それらをさし置いて、JRAプールでも圧倒的1番人気に支持されたのがロマンチックウォリアー。ディフェンディングチャンピオンであり、春にはクイーンエリザベス2世カップ(G1、以下QE2)を優勝。前走ではオーストラリアのコックスプレート(G1)をも勝っている香港が生んだ歴史的名中距離馬だ。

これに次ぐ人気に推されたのがプログノーシス。QE2ではロマンチックウォリアーの2着。他の日本勢もヒシイグアスは一昨年の2着馬だし、ローシャムパークは重賞連勝中という事で、いずれも軽視は禁物と思えた。

レースはマネーキャッチャーら地元勢が引っ張る形で幕を開けた。ロマンチックウォリアーは好位の4番手。アイリッシュチャンピオンS(G1、芝2000メートル)を昨年勝利し、今年は2着だったルクセンブルクが中団で、ヒシイグアスがそのすぐ後ろ。ローシャムパークは後方で、プログノーシスは11頭の最後方からレースを進めた。

1200メートルの通過タイムは1分15秒07と遅め。3コーナーでは我慢し切れないという感じで外からロマンチックウォリアーが進出。早々に先頭を伺うと、追従するようにルクセンブルクとヒシイグアスも前との差を詰める。

直線に向くと早目に抜け出したロマンチックウォリアーが振り切るかと思えたが、ルクセンブルクとヒシイグアスが迫り、馬体を並べる。一方、プログノーシスは追い込み馬の宿命か、馬群を捌きつつ伸びては来たが5着までで、ローシャムパークに至っては8着が精一杯。結果、ロマンチックウォリアーがなんとか粘り切り、短アタマ差でルクセンブルクが2着。ヒシイグアスは健闘も、勝ち馬からクビ差の3着に終わった。勝ち時計は2分2秒ジャストで、3着までが0.05秒内でのゴールとなった。

「オーストラリアからの帰国初戦だったけど、勝ててホッとしています。本当にこの馬には頭の下がる思いです」

名コンビのJ.マクドナルド騎手は満面の笑みでそう語った。

日本馬13頭は残念ながら先頭でゴールする事は出来なかった。しかし、これをスプリングボードとして、いずれまた活躍する日が必ずや来ると信じて今回の観戦記は終わりとしよう。