競馬あれこれ 第174号

春の中距離決戦・大阪杯を分析する

 

【Photo by JRA

阪神芝2000mで行われるG1競走・大阪杯。2016年までは春の天皇賞などへ向けたステップレースという位置づけのG2だったが、2017年より古馬・中距離におけるチャンピオン決定戦となり、これまでキタサンブラックなど7頭がそのタイトルを手にしている。今年はどの馬が栄冠を掴むのか。JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して、G1昇格後過去7回の傾向を分析したい。

穴馬にもチャンスあり

■表1 【人気別成績】

過去10年、1、2番人気はともに連対率42.9%、そして4番人気が複勝率57.1%と上々の成績を残している。一方で3番人気は複勝率14.3%、そして5番人気は3着以内の好走なしに終わっており、その分、穴馬にもチャンスがあるレースとなっている。2019年には皐月賞馬ながら9番人気まで評価を下げていたアルアインが優勝するなど、2000~2200mのG1好走実績馬が中位人気で馬券に絡んでくる例が多い印象だ。

キャリア13~15戦の5歳馬に注目

■表2 【年齢別成績】

3着以内の好走馬21頭中20頭は4、5歳馬。4歳の好走馬10頭はすべてキャリア10戦以内だったが、今年登録がある4歳馬はすべてこれに該当する。5歳はキャリア12戦以下【0.1.0.9】、16戦以上【0.1.1.14】とどちらも複勝率10%台前半にとどまるのに対し、13~15戦の馬は【5.1.1.5】複勝率58.3%の好成績。こちらは4歳勢と違って有力馬の選別に活用できそうなデータだ。

前走G2組の好走多数

■表3 【前走クラス別成績】

前走クラス別では、G2に出走していた馬が【4.5.5.55】と好走馬21頭中14頭を占める。このうちアメリカJCC組は【0.0.0.6】、日経新春杯組は【0.0.0.4】と間隔がやや開いていた馬は苦戦しており、金鯱賞中山記念京都記念あたりが中心だ。

前走国内G1組は好走した4頭すべて芝2000mのG1で既に馬券に絡んだ実績を持っていた。また海外G1組のジャックドールも加えた5頭は、本競走で2番人気以内に支持されていたことも共通点として挙げられる。そしてG3組は無傷の5連勝中だったレイパパレ(2021年1着)と、近5走で4勝を挙げていたアリーヴォ(2022年3着)の2頭。かなりの勢いがないかぎり勝負には絡めない。

G2組なら前走上位人気のG1連対実績馬

■表4 【前走金鯱賞中山記念京都記念からの好走馬】

表4は前走G2組の中心となる金鯱賞中山記念京都記念の好走馬13頭である。いずれも前走では5番人気以内に支持されており、この3競走で5番人気以内だった馬の合計は【4.5.4.25】複勝率34.2%になる。前走着順は1~5着が複勝率26.3%、6~9着が同22.2%、10着以下が同10.0%と、ひと桁着順であれば問題ない。また、この組の好走馬13頭中10頭はG1連対実績馬だった。

前走「先行」が有力

■表5 【前走脚質別成績(前走国内のみ)】

※脚質はTARGET frontier JVによる分類

最後に、前走海外組を除いた前走脚質別の成績もみておきたい(脚質はTARGET frontier JVによる分類)。表にある通り、前走で「先行」していた馬が5勝を挙げ、勝率15.6%・複勝率28.1%。そして前走「後方」は1勝止まりながら、連対率は「先行」(21.9%)を上回る25.0%を記録している。前走「逃げ」は2019年キセキによる2着1回のみ。そして意外にも前走で「中団」だった馬からは連対馬が出ていない。

【結論】

5歳のジオグリフ、プラダリアに一発を期待

大阪杯では表2にあったように「5歳でキャリア13~15戦の馬」が優勝馬7頭中5頭該当と好成績を残しており、今年はキャリア14戦のジオグリフ、15戦のプラダリアに注目したい。どちらも前走では「先行」(表5)し、ジオグリフは中山記念4番人気3着、プラダリアは京都記念3番人気1着とG2組の「5番人気以内」(表4)に該当する。

また、ジオグリフは2022年の皐月賞馬で表4のG1連対実績の条件を満たし、加えてこのレースでは芝中距離のG1連対実績馬が中位人気で多く好走していることも強調材料になる(表1本文)。一方のプラダリアはG1では日本ダービー5着が最高だが、こちらは大阪杯で好走が多い父サンデーサイレンス系(7年で6勝)ディープインパクト、そして関西馬(同7勝)という点が評価できる。

4歳勢では、前走G1(有馬記念6着)で今回2番人気以内(表3本文)が予想されるタスティエーラ、そして前走中山記念で1番人気(4着)だったソールオリエンスと、昨年のクラシックを沸かせた2頭が有力候補になる。この2頭の比較では、前走「中団」で父ノーザンダンサーサトノクラウンのタスティエーラよりは、前走「後方」で父サンデーサイレンスキタサンブラックソールオリエンスを上位にとりたい。もう1頭加えるならG3組で3連勝中、前走・愛知杯がTARGET frontier JVによる分類では「先行」になるミッキーゴージャスの名前を挙げたい(表3本文、表5)。