競馬あれこれ 第173号

多士済済がエントリーしてきた

G1・高松宮記念を展望する

 
チーム・協会

【Photo by JRA

春のG1シーズンは高松宮記念からスタートする。今年は4歳から8歳まで、香港からの参戦もあり、牡馬(セン馬を含む)13頭、牝馬10頭が登録、多彩な顔ぶれが揃った。そんな春のスプリント王決定戦を過去10年のデータから読み解いていく。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

「6~7歳」「牡馬」「関東馬」に激走傾向

■表1 【年齢別・牡牝別・所属別成績】

年齢別は4、5歳が各3勝、6、7歳が各2勝をマーク。そのうち4~6歳は複勝率がまったくの互角となっている。7歳も回収値が高く、8歳以上でなければ年齢はあまり気にしなくてよさそうだ。牡牝別は牡馬9勝、牝馬1勝と差があり、単勝馬単3連単を好む方には重要なファクターとなりうる。所属別は、関東馬複勝回収値が非常に高いことをチェックしておきたい。また、外国馬は2頭(いずれも香港馬)が参戦し、15年にエアロヴェロシティが勝利。香港の短距離路線はレベルが高く、軽視は禁物だろう。

過去10年で前走シルクロードS組が5勝

■表2 【前走レース別成績】

表2は前走レース別成績(※高松宮記念好走例のある前走レースを抜粋)で、前走シルクロードS組、阪急杯組、オーシャンS組が主力を形成。この3レースに関しては、別途データを後述する。ほかに1着馬を出した前走は香港スプリントとチェアマンズスプリントプライズで、いずれも香港の芝1200mG1である。国内戦では、前走京都牝馬Sおよび阪神Cで1着だった馬は【0.3.0.2】という成績で、該当馬がいれば注目。もうひとつ、前走フェブラリーSも2着馬が1頭おり、芝実績があればカバーはしておきたい。

シルクロードSの上がり1~5位馬は注目

■表3 【前走シルクロードS出走馬に関するデータ】

前走シルクロードS出走馬は「シルクロードSにおける着順と上がり3F順」が参考になる。着順は1~5着に入っておくことが重要で、本番を勝った5頭もすべて該当する。上がり3F順は、1~5位だった馬は勝率30.8%、複勝率46.2%とかなり優秀だが、6位以下だと勝率5.0%、複勝率10.0%にとどまる。ただし、着順が6着以下、上がり順が6位以下のどちらの場合も高い回収値を記録している点は見逃せないところで、激走馬が潜んでいる可能性は考慮しておきたい。

阪急杯で1~4番人気に収まるのは絶対条件

■表4 【前走阪急杯出走馬に関するデータ】

前走阪急杯出走馬は「阪急杯における人気と4角通過順」が参考になる。人気は、阪急杯で5番人気以下だった馬が高松宮記念で好走した例はなく、1~4番人気に収まっていることは絶対条件と言っても過言ではない。また、4角通過順も1~4番手だった馬が好走例の大半を占め、5番手以降とは数値も雲泥の差だ。ちなみに、20年高松宮記念で15番人気から1位入線(4着降着)のクリノガウディーも、前走阪急杯で3番人気、4角2番手と条件を満たしていたことを付記しておきたい。

オーシャンS1着馬はまさかの全滅

■表5 【前走オーシャンS出走馬に関するデータ】

前走オーシャンS出走馬は「オーシャンSにおける着順と上がり3F順」が参考になるが、取り扱いに注意したい。着順は、1着だと【0.0.0.9】と本番でまさかの好走なし。対して、2着は【1.2.1.5】の好成績を収めている。3着以下は複勝率7.0%にとどまるものの、複勝回収値257と激走傾向を示す。上がり3F順は、1位の【1.1.1.2】、6~9位の【0.1.3.12】、複勝回収値759は狙ってみる価値がある。しかし、2~5位は【0.0.0.24】、10位以下も【0.0.0.16】と好走例が皆無となっている。

【結論】

「今年は阪急杯組がデータ的に面白そう」

まずは3つの主要前走から、今回のデータ分析で有望と思われる登録馬を紹介していこう。前走シルクロードS組の2頭は、好走条件「1~5着」「上がり1~5位」の両方は満たせず。ルガルは3馬身差の快勝も、上がり順が6位で惜しくも届かなかった。前走阪急杯組の2頭は、好走条件「1~4番人気」「4角1~4番手」の両方をウインマーベル、アサカラキングがともにクリアした。前走オーシャンS組の5頭からは、「2着」のビッグシーザー、「上がり6~9位」に当てはまるマテンロウオリオン、キミワクイーンをピックアップしておきたい。なお、ここまで名前を挙げた馬のうち、キミワクイーンとアサカラキングは3月20日時点で除外対象となっている。

そのほか、京都牝馬S1着のソーダズリング、芝マイルG1勝ち馬で前走フェブラリーSというプロフィールが18年2着のレッツゴードンキと重なるシャンパンカラー、前走香港スプリントのマッドクールや香港馬ビクターザウィナーも軽視はできない。実績でいえば、登録馬で唯一の国内スプリントG1馬ママコチャ、重賞6勝のメイケイエール、同4勝のナムラクレアも上位になるが、今回のデータ分析からはこれといった強調材料が見当たらなかった。