競馬あれこれ 第164号

G1制覇へ前進する馬は? 東京新聞杯を分析する

 
チーム・協会

【Photo by JRA

ヴィクトリアMや安田記念と同じ東京芝1600mで行われる東京新聞杯。大一番までは3カ月以上あるものの、2022年には本競走2着のファインルージュがヴィクトリアMに直行して2着、そして本競走1着のイルーシヴパンサーが安田記念に向かい1番人気(8着)の支持を受けるなど、G1のステップレースとしても機能している一戦だ。今年、ここを制してG1へはずみをつけるのはどの馬か。JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去の傾向を分析したい。

4歳馬、牝馬が好成績

■表1 【年齢別、性別成績】

過去10年の年齢別では4歳が【4.5.4.27】で複勝率32.5%の好成績。そして性別では牝馬が【4.4.2.11】同47.6%で、牡・セン馬の同15.7%を大きく上回っている。どちらにも該当する4歳牝馬は【1.3.1.3】で複勝率62.5%と注目は欠かせない。

今年は前走G1出走馬が主力か

■表2 【前走クラス別成績】

前走クラス別では、3勝クラス組と国内G1組が複勝率38.5%で並んでいる。このうち3勝クラス組の好走馬5頭は前走11月以降の芝1600~1800m戦1着馬ばかりで、今年は該当馬不在。前走G1組が主力と考えていいだろう。そのG1組の中でも牝馬は【4.2.1.2】複勝率77.8%と抜群の成績を残している。なお、G1組に次いで複勝率が高いのはG2組だが、好走した3頭はすべて阪神C組で今年は登録なし。前走G1組以外ならG3組ということになりそうだ。

前走G1組は前年夏以降の重賞実績をチェック

■表3 【前走G1組の成績(牝馬は該当全馬、牡馬は3着以内好走馬のみ)】

表3は前走国内G1組の成績。【4.2.1.2】の牝馬は該当全馬を掲載し、【1.1.1.14】の牡馬は3着以内の好走馬のみを抜粋している。牡牝問わず好走した10頭に共通するのは、前年夏以降の重賞で3着以内に入っていたこと。特に牝馬はこれをクリアしていれば【4.2.1.0】の複勝率100%で、クリアしていなかった馬は【0.0.0.2】とくっきり明暗が分かれている。なお、前走は前年10月以降であれば着順は問われない。

G3組は前走京都金杯3着以内か2走前連対

■表4 【前走G3からの好走馬】

2走前の※は東京芝1600m

前走G3組の好走馬は8頭。このうち半数の4頭は前走で同じマイルG3の京都金杯に出走して3着以内だった。これに該当しない馬は2走前がチェックポイントとなり、2頭は重賞で連対、2頭は本競走と同じ東京芝1600mのオープン特別か3勝クラスで勝利していた。

オープン特別組は前走1~2番人気のマイル重賞実績馬

■表5 【前走オープン特別からの好走馬】

オープン特別組はG1組やG3組に比べれば劣勢だが、好走馬の傾向はわかりやすい。まず前走のキャピタルSかニューイヤーSで2番人気以内の支持を受けていたこと。そしてマイル重賞の連対実績を持っていたことが共通点として挙げられる。なお、カテドラルはNHKマイルC3着もあるため、「マイルG1で3着以内か東京マイルの重賞勝ち」ととらえることもできる。いずれにせよ、前走がオープン特別だった馬でも重賞好走実績は必須だ。

【結論】

前走秋華賞2着の4歳牝馬・マスクトディーヴァが中心

前走3勝クラス組と国内G1組が高複勝率を残す東京新聞杯だが、表2本文で触れたように今年は国内G1組が有力。中でも、2走前にローズSを制し前走の秋華賞でも2着に食い込んだ4歳牝馬マスクトディーヴァが中心になる。G1組かつ前年夏以降に重賞3着以内の実績がある牝馬複勝率100%だ(表3本文)。マイル戦初出走という点はやや気になるものの、2020年には同じく牝馬でマイル戦未経験だったシャドウディーヴァが2着に食い込んだ例もあり、大きな減点までは必要ないとみたい。

G1組からもう1頭挙げればジャスティンカフェ。6歳牡馬(表1)という点でマスクトディーヴァには見劣るが、6月のエプソムC優勝、前走のマイルCS3着でこちらもG1組の好走条件を満たしている。