競馬あれこれ 第145号

秋の牝馬頂上決戦・エリザベス女王杯を分析する

今週はエリザベス女王杯。1995年までは現在の秋華賞に相当するレースとして行われており、メジロラモーヌヒシアマゾンなどが優勝。3歳(旧表記4歳)・古馬混合戦となった1996年以降ではメジロドーベルダイワスカーレットリスグラシュー、ラッキーライラックといった名牝が優勝馬に名を連ねている。今年は4年ぶりに本来の京都に戻っての開催になるが、阪神で行われた近3年も含む過去10年の傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。

好走馬の大半は前走G1・G2

■表1 

過去10年の前走クラス別成績を調べると、3着以内の好走馬30頭中19頭は前走で中央G2に、9頭は中央G1に出走していた。その他の好走馬は2頭しかいないため、前走がG3以下だった馬は大幅な割引が必要になる。また、G2でも京都大賞典組は【0.0.0.13】の不振だ。

3、4歳馬が中心

■表2 

年齢別では4歳が【7.3.6.44】で複勝率26.7%、3歳が【2.4.2.30】で同21.1%をマーク。4歳の好走馬16頭中14頭は前走で中央G2に、3歳の好走馬8頭中7頭は中央G1に出走していた。5歳以上は劣勢だ。

4歳・前走G2組は前走7着以内馬

■表3 

前走でG2に出走していた4歳馬について前走着順別の成績をみると、好走馬14頭はすべて前走7着以内だった。この「4歳」「前走G2」「前走7着以内」の馬は【7.3.4.13】で複勝率は51.9%になる。なお、4歳の好走馬で前走がG2以外だったミッキークイーン(2016年3着、前走ヴィクトリアM2着)は、ここまでの成績が【4.5.0.1】で馬券圏外はジャパンC8着のみ、クラヴェル(2021年3着、前走新潟記念3着)は重賞で【0.1.2.0】と4着以下がなかった。

3歳は秋華賞組か前走1着馬

■表4 

3歳の好走馬は表4の8頭で、うち6頭は秋華賞。一昨年2着のステラリアが秋華賞6着から、昨年2着のライラックが同10着から巻き返しているように秋華賞での着順は気にならない。ただ、秋華賞組というだけでは【2.3.1.24】複勝率20.0%止まり。秋華賞前までにオープン・重賞勝ちの実績がある馬を狙いたい。

残る2頭は前走条件戦1着のラキシスと、オークス1着以来だったラヴズオンリーユー。エリザベス女王杯古馬に開放された1996年以降、前走が秋華賞以外で2着以下だった3歳馬は【0.0.0.8】(外国馬除く)に終わっている。

5歳以上なら2200m以上のG1連対実績馬

■表5 

5歳以上の好走馬は6頭。すべて前走でG1またはG2に出走して5着以内だったが、「5歳以上」+「前走G1またはG2」+「前走5着以内」で絞っても【1.4.1.23】複勝率20.7%と好走確率はさほど高くならない。この条件に加え芝2200m以上のG1連対実績(6頭中5頭)を持つ馬から候補を探りたい。

【結論】

4歳馬ライラック、ルージュエヴァイユが有力

エリザベス女王杯は前走でG2に出走し7着以内だった4歳馬の好走確率が高い(表1~3)。昨年の本競走2着馬(同着)ライラックはその後、牡馬相手に3戦して4、9、17着だったが、牝馬同士に戻った前走の府中牝馬Sで3着。今年も上位争いを期待できそうだ。また、その府中牝馬Sで同馬に先着(2着)した同じ4歳のルージュエヴァイユも有力候補になる。

3頭の登録がある3歳馬ではハーパーが筆頭格。秋華賞組かつ4走前のクイーンCで重賞勝ちを飾っている点がプラス材料だ(表4)。なお、5歳以上で表5の条件をクリアする馬は不在だが、あえて1頭挙げれば昨年の覇者・ジェラルディーナだろうか。前走オールカマーは表5の好走条件「前走5着以内」に0.1秒及ばず6着も、5歳以上でG1連対実績を持つのは本馬1頭だ。