競馬あれこれ 第136号

3年ぶりの京都開催となる京都大賞典を分析

チーム・協会

2022/10/10 阪神 11R 京都大賞典(G2) 1着 10番 ヴェラアズール 

今回取り上げるのは京都大賞典。1着馬には天皇賞・秋の優先出走権が与えられ、同距離のジャパンCにもつながる1戦だ。実際、昨年の勝ち馬ヴェラアズールは次走のジャパンCを制した。同馬の連覇もかかる今年は、3年ぶりの京都開催となる。この伝統のG2を、過去10年のデータから分析する。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

過去10年で5歳馬が5勝

■表1 【年齢別成績】

年齢別では5歳馬が過去10年で5勝をマーク。4歳馬は2着5回と詰めの甘さはあるが、連対率と複勝率では5歳馬を上回る。この4、5歳馬で計20回の1~3着を記録しており、中心勢力となっている。とはいえ、6歳馬や7歳馬の好走率も極端には落ちず、21年には8歳馬マカヒキが5年ぶりの勝利を挙げて話題となったように、高齢馬にも一定以上のチャンスはありそうだ。

前走G1出走馬がさすがの好成績

■表2 【前走クラス別成績】

前走クラス別では、前走G1が主力。好走数も最多で、6勝を含む1~3着18回を記録している。これが前走G2やG3になると、いずれも複勝率は10%台にダウン。オープン特別(リステッド競走を含む)も同様で、やや苦戦の傾向が見て取れる。その一方で前走3勝クラスが【1.1.1.3】と好調で、昨年1着のヴェラアズールも該当する。格の前走G1、勢いの前走3勝クラスが好成績という、なかなか興味深い傾向を示している。

前走G1で先行した馬が抜群

■表3 【前走G1出走馬の前走4角通過順別成績】

前走G1出走馬が中心となることが前項でわかった。そのなかでも、より有望な馬を探すために参考になりそうなデータが、前走G1における4角通過順だ。上表の通り、4角1~3番手が【3.1.3.3】と、前走のG1で前に行っていた馬の好走確率はかなり高い。また、4角7~9番手も【3.2.0.5】と好成績だが、今年の登録馬に該当する馬がいない。4角3~6番手も複勝率28.6%と悪い成績ではないが、10番手以降だった馬は連対例がなく、前走G1でもそこまで強調できない。

前走G1以外なら3着には入っておきたい

■表4 【前走G1以外のオープン出走馬の前走着順別成績】

前走G2・G3・オープン特別(リステッド競走を含む)は苦戦気味だが、合算して1~3着9回を記録しており、好走例自体は決して少なくない。そこで目安として確認しておきたいのが前走着順。このケースで前走1~3着なら合わせて【2.3.2.20】、勝率7.4%、複勝率25.9%とまずまずの成績を残している。また、19年に11番人気1着のドレッドノータスが前走5着なので、悪くとも掲示板には載っておきたい。さらに着順を落として前走6着以下だと、【0.1.0.36】と好走確率がかなり下がってしまう。

中山・阪神の芝重賞1着馬が好相性

■表5 【芝重賞1着実績の競馬場別成績・13~20年限定】

上表は、芝重賞1着実績の競馬場別成績。なお、この表では、阪神開催だった前2年は集計から除いていることにご注意いただきたい。まず、当たり前かもしれないが、京都芝重賞1着の実績を持つ馬はさすがの好成績を収めている。ただし、3年近い開催休止期間があったため、京都芝重賞の出走機会が限られていた現役馬も少なくない。そこで、別の競馬場に目を転じると、中山と阪神がなかなか優秀な好走率を残していることがわかる。直線平坦の京都とは違い、中山、阪神ともに直線急坂の競馬場だが、京都大賞典とは思った以上に実績がリンクするようだ。

【結論】

前走G1で先行したアイアンバローズに注目

京都大賞典で好成績の前走G1には4頭が該当する。そのなかでも好走確率が高い前走4角通過1~3番手に該当するのが、天皇賞・春で4角1番手だったアイアンバローズである。

前走G2・G3・オープン特別(リステッド競走を含む)の場合は、そこで3着以内に入っておきたい。該当するのは4頭で、そのなかでも好データが揃っているのが、登録15頭で唯一の5歳馬にして、好相性の阪神芝重賞1着実績を持つビッグリボン。そのほか4歳馬のブローザホーンインプレスもマークしておきたい。

前走3勝クラス出走馬も好走率が高く、昨年勝ったヴェラアズールと同様にジューンS1着から臨むサクセスシュートは軽視できない。

もちろん、そのヴェラアズールも注目の1頭。京都芝初出走だが、昨年のこのレースで阪神芝重賞1着実績を確保しており、適性はあまり心配しなくていいかもしれない。その意味では、出走予定馬で唯一京都芝重賞1着実績を持つディープボンドには格好の舞台と言えそうだ。