サウジCに日米から豪華メンバーが集結、ハイペース濃厚で底力を問われる激戦に
昨年のドバイWCを制したウシュバテソーロ 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
昨年はパンサラッサの逃げ切りを筆頭に、上位5着のうち日本調教馬が4頭を占めるなど快挙に沸いたサウジC。今年も日本からウシュバテソーロにデルマソトガケ、そしてレモンポップの現役3強が遠征するほか、ダートの本場アメリカからBCクラシックの覇者ホワイトアバリオ、ペガサスWC勝ちのナショナルトレジャーらが参戦。ダートの国際舞台における2024年の開幕を告げると同時に、2023年の総決算にもなり得る豪華なメンバーが顔をそろえた。
日本勢は昨年より遠征頭数こそ1頭減るが、ダート実績という質においては遥かに強力。ドバイWCの覇者ウシュバテソーロ、これにBCクラシック2着で先着のデルマソトガケ、JRA賞最優秀ダートホースのレモンポップがひとまず3強を形成する。3頭の直接対決はBCクラシックのウシュバテソーロとデルマソトガケによる1戦のみで、レモンポップとは初対戦となるだけに、力関係を量るだけでも難しく興味は尽きない。
それぞれに優勝の期待が懸かる一方で、今回は克服すべき課題もある。ウシュバテソーロには1800mの距離がやや不足している。昨年のドバイWC(2000m)はハイペースを利した最後方からの追い込み。9月の日本テレビ盃は1800mで完勝したものの、今回は世界の超一流が相手になる。BCクラシック(2000m)では先行勢を射程圏に入れながら追走するも、なし崩しに脚を使わされて伸びを欠いた。
BCクラシックのデルマソトガケはウシュバテソーロに2馬身余りの先着。先行してウシュバテソーロを完封したように、距離短縮でさらにスピードが生きる。ただし、3歳から古馬になって当時の斤量差(約1.5kg)は無くなる。また、昨年のサウジダービーではゲートで行き脚がつかず、流れに乗り切れないまま3着に敗れており、キングアブドゥルアジーズ競馬場の独特なダートへの対応力が問われる。
レモンポップはチャンピオンズCを鮮やかに逃げ切ったが、田中博康調教師が1400mをベストと言うように、1800mの距離は本質的に長い。この辺りはウシュバテソーロと対照的だ。スピードはデルマソトガケよりもあると思われるが、アメリカ勢が加わる今回は国内と同様に主導権を握っていけるか。厳しいレース間隔だったとはいえ、昨年のドバイゴールデンシャヒーンで全く振るわなかった点も、再度の海外遠征に向けて不安要素となる。
クラウンプライドとメイショウハリオの実績に3強ほどのインパクトはないかもしれないが、一角崩しかそれ以上があっても何ら不思議はない。そもそも3強とは直接対決の機会が少なく、勝負づけを済まされている訳でもない。
クラウンプライドはチャンピオンズCで大敗したが、内ラチ沿いを運んだレモンポップとは対照的に馬群の外を走らされ続けた結果。昨年のサウジCでは5着、UAEダービー(2022年)とコリアC(2023年)勝ち、ケンタッキーダービーにも参戦し、外国勢を含めても随一の遠征経験は武器になる。メイショウハリオはフェブラリーSとチャンピオンズCでレモンポップ、東京大賞典(2022年)ではウシュバテソーロに敗れた。それぞれ4馬身ほどの差で分が悪いのは確かだが、フェブラリーSでは大出遅れを挽回しており、距離や相手関係の変化を受けて逆転の余地も残されている。
日本勢は昨年より遠征頭数こそ1頭減るが、ダート実績という質においては遥かに強力。ドバイWCの覇者ウシュバテソーロ、これにBCクラシック2着で先着のデルマソトガケ、JRA賞最優秀ダートホースのレモンポップがひとまず3強を形成する。3頭の直接対決はBCクラシックのウシュバテソーロとデルマソトガケによる1戦のみで、レモンポップとは初対戦となるだけに、力関係を量るだけでも難しく興味は尽きない。
それぞれに優勝の期待が懸かる一方で、今回は克服すべき課題もある。ウシュバテソーロには1800mの距離がやや不足している。昨年のドバイWC(2000m)はハイペースを利した最後方からの追い込み。9月の日本テレビ盃は1800mで完勝したものの、今回は世界の超一流が相手になる。BCクラシック(2000m)では先行勢を射程圏に入れながら追走するも、なし崩しに脚を使わされて伸びを欠いた。
BCクラシックのデルマソトガケはウシュバテソーロに2馬身余りの先着。先行してウシュバテソーロを完封したように、距離短縮でさらにスピードが生きる。ただし、3歳から古馬になって当時の斤量差(約1.5kg)は無くなる。また、昨年のサウジダービーではゲートで行き脚がつかず、流れに乗り切れないまま3着に敗れており、キングアブドゥルアジーズ競馬場の独特なダートへの対応力が問われる。
レモンポップはチャンピオンズCを鮮やかに逃げ切ったが、田中博康調教師が1400mをベストと言うように、1800mの距離は本質的に長い。この辺りはウシュバテソーロと対照的だ。スピードはデルマソトガケよりもあると思われるが、アメリカ勢が加わる今回は国内と同様に主導権を握っていけるか。厳しいレース間隔だったとはいえ、昨年のドバイゴールデンシャヒーンで全く振るわなかった点も、再度の海外遠征に向けて不安要素となる。
クラウンプライドとメイショウハリオの実績に3強ほどのインパクトはないかもしれないが、一角崩しかそれ以上があっても何ら不思議はない。そもそも3強とは直接対決の機会が少なく、勝負づけを済まされている訳でもない。
クラウンプライドはチャンピオンズCで大敗したが、内ラチ沿いを運んだレモンポップとは対照的に馬群の外を走らされ続けた結果。昨年のサウジCでは5着、UAEダービー(2022年)とコリアC(2023年)勝ち、ケンタッキーダービーにも参戦し、外国勢を含めても随一の遠征経験は武器になる。メイショウハリオはフェブラリーSとチャンピオンズCでレモンポップ、東京大賞典(2022年)ではウシュバテソーロに敗れた。それぞれ4馬身ほどの差で分が悪いのは確かだが、フェブラリーSでは大出遅れを挽回しており、距離や相手関係の変化を受けて逆転の余地も残されている。
昨年のBCクラシック覇者ホワイトアバリオ(右) 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
日本勢の前に立ちはだかるのは第一にアメリカ勢だろう。ホワイトアバリオはBCクラシックでデルマソトガケとウシュバテソーロを負かしており、最大の壁となることは間違いない。当時から200mの距離短縮も歓迎の口。先行できるレモンポップやクラウンプライド、デルマソトガケらとの駆け引きは見ものだ。
ナショナルトレジャーも強力な先行力を備えている。1900mのプリークネスSを逃げ切り、BCダートマイルでは大外枠から逃げて追い込みのコディーズウィッシュ(米年度代表馬)とハナ差の接戦を演じた。前走のペガサスWCは2番手追走から4角先頭でセニョールバスカドールの追撃をクビ差封じるなど、スムーズに行けた時の粘り腰は相当だ。
その名もサウジクラウンはBCクラシックで2番手追走から10着に轟沈。差なく追走のホワイトアバリオとデルマソトガケに大きく水を開けられた。前走のG3ルイジアナSは1700mで圧勝しており、陣営はBCからの距離短縮に望みを抱いているが、再びの相手強化で力を発揮できるか。ホイストザゴールドはペガサスWCでハナを切るも、ナショナルトレジャーの追撃を受けて完敗した。これらを巻き込んで先行争いが激化すれば、セニョールバスカドールがナショナルトレジャーを逆転する目も。ウシュバテソーロやメイショウハリオも望むところだろう。
地元のサウジアラビア勢も侮れない。エンブレムロードが2022年に優勝し、昨年はゲートに失敗しながら6着(クラウンプライドから1馬身3/4差)まで挽回。2021年もグレイトスコットが3着で上位に絡んだ。
カーメルロード(キングファイサルC)とパワーインナンバーズ(二聖モスクの守護者杯)は、前哨戦2鞍からの参戦だが、双方で鞍上を務めたC.オスピーナ騎手(サウジアラビアでリーディング8回)は、キングファイサルCを制したカーメルロードを選択した。臨戦やクオリティロード産駒はエンブレムロードにも重なる。
もう1頭のディファンデッドはアメリカからの移籍馬で、2023年5月にハリウッドGC勝ち、同1月のペガサスWCと2022年のハリウッドGCでも2着と複数のG1入着歴がある。ただ、近年のハリウッドGCは低調で今年からG2に格下げ、ペガサスWCも勝ち馬に4馬身半差の完敗と実績ほどの内容を伴っているか疑問符がつく。昨年のゴドルフィンマイルでバスラットレオンとウインカーネリアンを突き放して逃げ切ったUAEのアイソレートとともに、この相手関係では試金石と見ておくべきか。
ナショナルトレジャーも強力な先行力を備えている。1900mのプリークネスSを逃げ切り、BCダートマイルでは大外枠から逃げて追い込みのコディーズウィッシュ(米年度代表馬)とハナ差の接戦を演じた。前走のペガサスWCは2番手追走から4角先頭でセニョールバスカドールの追撃をクビ差封じるなど、スムーズに行けた時の粘り腰は相当だ。
その名もサウジクラウンはBCクラシックで2番手追走から10着に轟沈。差なく追走のホワイトアバリオとデルマソトガケに大きく水を開けられた。前走のG3ルイジアナSは1700mで圧勝しており、陣営はBCからの距離短縮に望みを抱いているが、再びの相手強化で力を発揮できるか。ホイストザゴールドはペガサスWCでハナを切るも、ナショナルトレジャーの追撃を受けて完敗した。これらを巻き込んで先行争いが激化すれば、セニョールバスカドールがナショナルトレジャーを逆転する目も。ウシュバテソーロやメイショウハリオも望むところだろう。
地元のサウジアラビア勢も侮れない。エンブレムロードが2022年に優勝し、昨年はゲートに失敗しながら6着(クラウンプライドから1馬身3/4差)まで挽回。2021年もグレイトスコットが3着で上位に絡んだ。
カーメルロード(キングファイサルC)とパワーインナンバーズ(二聖モスクの守護者杯)は、前哨戦2鞍からの参戦だが、双方で鞍上を務めたC.オスピーナ騎手(サウジアラビアでリーディング8回)は、キングファイサルCを制したカーメルロードを選択した。臨戦やクオリティロード産駒はエンブレムロードにも重なる。
もう1頭のディファンデッドはアメリカからの移籍馬で、2023年5月にハリウッドGC勝ち、同1月のペガサスWCと2022年のハリウッドGCでも2着と複数のG1入着歴がある。ただ、近年のハリウッドGCは低調で今年からG2に格下げ、ペガサスWCも勝ち馬に4馬身半差の完敗と実績ほどの内容を伴っているか疑問符がつく。昨年のゴドルフィンマイルでバスラットレオンとウインカーネリアンを突き放して逃げ切ったUAEのアイソレートとともに、この相手関係では試金石と見ておくべきか。