競馬あれこれ 第148号

絶対王者イクイノックスに迫れる馬は?

チーム・協会


今週日曜日に行われるジャパンCは、G1・5連勝中のイクイノックス「一強」という雰囲気だ。しかし、他にも実績十分で楽しみな馬が揃った。ジャパンCの過去傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析してみたい。

天皇賞(秋)レコード勝ち後は着順を落とす?

■表1 【天皇賞・秋コースレコードで勝利した馬の次走成績、2000年以降】

イクイノックスが前走天皇賞(秋)レコードタイムで勝利したので、それにまつわるデータを調べた。2000年から2022年の間、天皇賞(秋)コースレコードで勝利した馬は3頭いて、いずれも次走はジャパンCに出走した。しかし、03年シンボリクリスエスは3着(1番人気)、08年ウオッカは3着(2番人気)、11年トーセンジョーダンは2着(6番人気)という結果に終わった。トーセンジョーダンの場合は人気よりも走ったので悪い結果ではないのだが、一応3頭ともジャパンCでは天皇賞(秋)よりも着順を落としたことになる。

それでも天皇賞(秋)4着以内馬が有力

■表2 【前走天皇賞・秋組の着順別成績、00年以降】

00年以降のジャパンCにおける前走天皇賞(秋)組の着順別成績を調べたところ、前走1着が勝率21.4%、連対率35.7%、複勝率85.7%と非常に優秀だった。前走4着は連対率36.4%、単勝回収率114%という部分において前走1着を上回っている。前走2着や前走3着の連対率や複勝率も悪くはないので、基本的には前走天皇賞(秋)組は4着以内の馬が有力と言えるだろう。

前走秋華賞1着馬もチャンスあり

■表3 【前走秋華賞組の着順別成績、00年以降】

前走秋華賞1着馬ジャパンC成績(00年以降)は【2.0.2.1】で勝率・連対率40.0%、複勝率80.0%でとても優秀。さらに牝馬三冠競走すべてで連対した馬に限ると【2.0.2.0】で複勝率は100.0%となる。好走したのは09年レッドディザイア(3着)、12年ジェンティルドンナ(1着)、18年アーモンドアイ(1着)、20年デアリングタクト(3着)。こうした実績馬であればジャパンCでも高確率で好勝負になり、勝つチャンスも十分ある。

前走天皇賞(秋)6着以下でも軽視はできない

■表4 【前走天皇賞・秋6着以下から巻き返した馬、00年以降】

先ほどの表2からは前走天皇賞(秋)4着以内が有力という傾向が読み取れたが、6着以下の馬も軽視はできない。例えば、前走6~9着は勝率9.4%、連対率12.5%、複勝率15.6%をマーク。前走10着以下の馬も含めれば、合計8頭(表4参照)がジャパンCで巻き返した。その内、4歳馬は05年ハーツクライ、07年アドマイヤムーン、14年エピファネイア、18年スワーヴリチャードの4頭。いずれも過去に芝2200~2400mのG1で連対した実績があった。

【結論】

牝馬三冠のリバティアイランドが金星に挑む

国内外のG1・5連勝中で実力・実績断然のイクイノックスにやはり注目が集まるところ。これまでのパフォーマンスを考えれば東京芝2400mで馬券から消えることは相当考えづらい。ただ、中3週という詰まったローテーションで競馬をするのは今回が初めて。表1で示した気になるデータもあるので、他馬にも勝機はあるかもしれない。

ここは3歳牝馬リバティアイランドに期待してみたい。同世代の牝馬が相手とはいえ、やはり牝馬三冠達成は偉業。13年のジャパンCで、3歳牝馬ジェンティルドンナが当時4歳で古馬最強のオルフェーヴルに勝った点も、リバティアイランドを後押しする材料になっている。斤量(古馬・牡馬と4キロ差)と、ゆったりとしたローテーション(天皇賞・秋よりも2週長い)がアドバンテージになりうるので、イクイノックスが相手でもかなり迫れる可能性があるとみたい。

イクイノックス以外の古馬で注目したいのは、前走天皇賞(秋)組のドウデュース。2番人気で7着と案外な競馬になってしまったが、この一戦で見限るわけにはいかない。日本ダービー制覇の実績がある4歳牡馬の底力に期待したい。