競馬あれこれ 第117号

芝2000~2400mの実績に注目! 宝塚記念分析

 
JRA-VAN
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2022/6/26 阪神 11R 宝塚記念(G1) 1着 6番 タイトルホルダー(2番人気) 【Photo by Toru Arita】

上半期のG1を締めくくる一戦、宝塚記念ディープインパクトオルフェーヴルといった多くの名馬が優勝馬に名を連ねており、過去10年でもゴールドシップやクロノジェネシス、昨年のタイトルホルダーなど複数のG1を制した馬が多く見られる。今年はどの馬が勝利を手にするのか。過去の傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。

■表1 【人気別成績】

過去10年の優勝馬は3番人気以内で7頭を占める一方、6~8番人気が3頭。そして9番人気以下の馬も6頭が2~3着に入るなど、波乱も期待できそうな一戦だ。ただ、表の右に記した2019年以降近4年の成績をみると優勝馬4頭はすべて3番人気以内で、連対馬は7番人気まで。8番人気以下は【0.0.1.31】と3着1回にとどまっている。過去10年全体をみるか、近年の傾向を重視するかによって狙いが変わってきそうだ。

表2 【性齢別成績】

年齢別では5歳が7勝(牡4勝、牝3勝)、4歳が3勝(牡2勝、牝1勝)で、6歳以上は優勝なし。性別では牡・セン馬【6.9.4.98】複勝率16.2%に対し、牝馬が【4.1.6.15】同42.3%と牝馬の好成績が目立っている。ただ、牝馬の好走馬のべ11頭中10頭は既にG1を制しており、残る1頭・2015年2着のデニムアンドルビーは2013年に国内最高峰のジャパンCで2着に好走していた。実績の裏付けがあった上での好成績だという点は頭に入れておきたい。

■表3 【枠番別成績(2013~20年・3回阪神8日目)】

宝塚記念はここ2年、京都競馬場改修の影響で3回阪神4日目に行われていたが、今年は2020年以前と同じ3回阪神8日目に戻る。そこで過去10年のうち2013~20年の枠番別成績をみると、勝馬8頭中7頭は8枠から出ていた。近2年の8枠5頭はすべて5着以下に敗退していたが、今年の8枠は要注目だ。

■表4 【前走クラス・主なレース別成績(日本馬)】

※背景灰:本年の出走予定馬不在

続いて表4は前走クラス別と主なレース別成績である(外国調教馬除く)。好走馬が多い中央G1組、好走確率でこれを上回る海外組が主力だ。また、G2組の好走馬は目黒記念のみ、そしてG3組は鳴尾記念のみとなっている。

■表5 【前走天皇賞(春)からの好走馬】

※赤字は芝2000~2400m

前走天皇賞(春)からの3着以内好走馬は表5の9頭。このうち7頭は前走4着以下と、天皇賞(春)馬券圏外から巻き返した馬がかなり多い。前走天皇賞(春)で1~3着だった馬は昨年こそタイトルホルダーが優勝したが、過去10年トータルでは【1.0.1.13】複勝率13.3%で複勝回収率はわずか22%。同4着以下だった馬は【3.3.1.19】複勝率26.9%・複勝回収率136%と、好走確率や回収率からもこの組は前走4着以下だった馬が狙いだ。また、重賞実績が長距離ばかりに集中しているような馬の好走はなく、芝2000~2400mでG1連対またはG2優勝経験を持つことも条件になる。

■表6 【前走海外からの好走馬(日本馬)】

前走海外組天皇賞(春)組とは違い、前走で3着以内に入っていた馬しか好走していない。表に挙げた5頭はすべて前走2~3着だが、11年前にあたる2012年の2着馬ルーラーシップは前走クイーンエリザベス2世Cを優勝していたため、「3着以内」という認識でいいだろう。また、好走した5頭はいずれも芝2000~2400mのG1優勝実績があった。

■表7 【前走中央G2、G3からの好走馬】

最後に表7は、前走中央G2・G3からの好走馬である。表4本文で触れたように、G2は目黒記念組、G3は鳴尾記念組だ。この組は6頭すべて前走4着以内で、うち5頭は3着以内。また、4頭は芝2000~2400mでG2以上の優勝実績があった。残る2頭のうちノーブルマーズは前走目黒記念が6度目の重賞挑戦で初連対(2着)、ユニコーンライオンは鳴尾記念が5度目の重賞挑戦でやはり初連対(1着)だった。

結論

海外も含めた前走G1組が好走馬の中心を担う宝塚記念。最終的な判断は枠順(表3)確定後に下したいが、確定前時点の筆頭候補はイクイノックス。昨年後半は古馬相手に天皇賞(秋)有馬記念を連勝。4歳(表2)を迎えた今年は初の海外遠征・ドバイシーマクラシックで圧倒的な力を見せつけた。前走海外組(表6)の好走馬はそのドバイシーマクラシック出走馬が多いこともあり、断然人気が予想される本馬も期待に応えてくれる可能性が高そうだ。

春の天皇賞組(表6)は優勝馬ジャスティンパレスも悪くはないが、同レースで馬券圏外だった馬の巻き返しが多いことからアスクビクターモア(11着)に注目。昨秋はイクイノックスが不在だった菊花賞をレコード勝ち。ほかに弥生賞優勝があり、芝2000~2400m実績の条件をクリアする。また、同じ天皇賞(春)組からは4着だったブレークアップの名前も挙げておきたい。優勝実績のあるアルゼンチン共和国杯は2500mで上記条件より100m長いが、今年の5歳馬(表2)の中ではデータ的な穴がもっとも少ない印象だ。
一方、前走G2以下(表7)の馬や牝馬(表2)は減点材料を抱える馬ばかり。しかし複勝率42.3%を記録する牝馬は無視しがたい印象で、G1・エリザベス女王杯優勝実績のある5歳牝馬ジェラルディーナを押さえ候補として加えておきたい。

 

 

 


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