競馬あれこれ 第126号

夏の小倉の開幕週を彩る小倉記念を分析する

チーム・協会

2021/5/1 東京 11R 青葉賞 1着 2番 ワンダフルタウン 

今週末から小倉がスタートし、夏競馬は再び3場開催に。その開幕週にいきなり組まれているのが、夏の小倉で最大のレースと言える小倉記念だ。ハンデG3とあって穴馬の台頭も多い芝2000m戦を、過去10年のデータから読み解いていこう。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 【年齢別成績】

表1は年齢別成績。出走数、好走数がともに多い4歳と5歳が主力となっている。特に4歳は過去10年で6勝を挙げ、勝率21.4%と勝ち切りが多い。この4歳と5歳で計9勝と、大半の勝ち馬を送り出していることも押さえておきたい。

年齢別で最多出走の6歳からは1着馬が出ておらず、2着も1回だけ。好走率でいっても4歳や5歳と比べて見劣る。7歳の好走は16年に1、3着馬が出ただけで、8歳以上の1~3着はない。この通り、高齢馬には苦戦の傾向が見て取れる。なお、3歳は3頭出走して2着2回と油断ならないが、今年は登録がなかった。

■表2 【出走間隔別成績】

表2は出走間隔別成績。複勝率ベースの数値を見ると、中1週、中2週、中3週はいずれも10%台にとどまる一方、中4~8週や中9週以上は30%台を記録。ただし、中1~3週からも計4頭の1着馬が出ており、無視するわけにもいかない。基本的には中4週以上が有利と考えつつ、柔軟に対応していきたい。

■表3 【前走クラス別成績】

※障害戦は集計から除外

表3は前走クラス別成績。最多出走は前走G3組で、このケースではそのG3がハンデ戦か否かを必ずチェックしたい。というのも、表3の下部に付記したデータの通り、ハンデ戦か否かで大差がついているからだ。成績がいいのは前走で非ハンデG3に出走していた馬で、具体的には【3.0.1.3】の鳴尾記念や【0.2.1.3】のエプソムCから臨む馬がいれば注目したい。

対して前走がハンデG3の場合、その好走率はお世辞にも高いとは言えない。特に前走七夕賞は【1.0.4.34】と、凡走に終わることが非常に多い。なかには【1.1.0.2】のマーメイドS、【0.2.0.0】の中日新聞杯など軽視できない前走ハンデG3もあるが、そうしたレース以外では慎重な取り扱いが求められる。

前走3勝クラスは要注目で、過去10年で4勝、勝率17.4%、単勝回収率224%と優秀な数字が並ぶ。格下だからと甘く見ると痛い目に遭いかねない。一方、3勝クラスより格上のはずの前走オープン特別およびリステッド競走は、合算して【0.1.0.20】と意外なほどの不振に陥っている。なお、前走G1はさすがの好成績だが、今年は該当する登録馬がいない。

■表4 【前走G3出走馬に関する注目データ】

表4は、前走G3出走馬に関する注目データをまとめたもの。前項で確認した傾向を踏まえて、ハンデG3と非ハンデG3に分けて集計している。

まずは好成績の前走非ハンデG3から。この場合、前走1、2着なら【2.0.1.0】と鉄板なのだが、今年は該当馬がいない。もっとも、前走6~9着や10着以下でも十分に高い好走率を記録しており、前走着順はあまり気にしなくていいだろう。それ以上に注意したいのが斤量で、「今回減」「今回増」のどちらに合致してもかなり優秀だ。このうち「今回減」の好成績は納得しやすいだろうが、斤量が「増減なし」より「今回増」のほうが狙えるという点には注意を要する。

この斤量の増減に関しては、前走ハンデG3においても同様の傾向であることを表4でご確認いただきたい。ただし、この場合は前走10着以下だと【0.0.1.17】と巻き返しは難しく、前走ハンデG3で9着以内をひとつの基準と考えたい。

■表5 【前走3勝クラス出走馬に関する注目データ】

表5は、前走3勝クラス出走馬に関する注目データをまとめたもの。前走着順の傾向は要注意で、前走1着が【0.1.1.10】と振るわず、前走2着以下が【4.0.1.6】とむしろ好成績を収めている。3勝クラスでも勝てなかった馬だからと軽視すると、思わぬ逆襲を食らいかねないので気をつけたい。また、前走4角通過順も注目で、前走4角3~9番手だった馬に好走が集中している。言い換えると、前走の3勝クラスで前に行っていた馬(4角1~2番手)でも、後ろから行っていた馬(4角10番手以降)でも、小倉記念では苦戦の傾向が見られる。ちなみに「前走3勝クラスで4角3~9番手から2~9着」という馬は【4.0.1.1】となり、ここが狙い目となりそうだ。

【結論】

以上のデータ分析に基づく有力馬を紹介したい。

まずは前走が非ハンデG3だった馬から。過去10年で好走例がない前走ダートを除くと、前走鳴尾記念ワンダフルタウンマリアエレーナの2頭が当てはまる。どちらも前走より斤量増だが、このケースではむしろ好材料であることは表4の項で述べた通り。また、ともに好走例が多い5歳馬で、年齢的にも問題ない。中9週のローテとなり、2着が多いパターンには合致するものの、好走は十分に期待できるだろう。

一方、前走がハンデG3の場合、前走で9着以内には収まっておきたい。この条件を満たすのはククナ(前走七夕賞2着)、エヒト(同8着)、カレンルシェルブル(同9着)、ゴールドエクリプス(前走マーメイドS4着)の4頭。出走間隔は前走七夕賞が中4週、前走マーメイドSが中7週で、いずれもローテは問題なし。年齢的には4歳のゴールドエクリプス、5歳のククナ、カレンルシェルブルがいい。ただし、4頭とも前走から斤量が増減なしでの出走となり、その点では割り引かざるをえない。

前走が3勝クラスだったのは、4歳のアップデートと5歳のレヴェッツァの2頭。ともに前走の関ケ原Sで敗れているが、このケースでは2着以下のほうがプラスであることを表5の項で述べた。より重要なのは前走の4角通過順が3~9番手であることだが、両馬ともに関ケ原Sの4角を9番手で回っており、この条件をクリア。中3週での出走という点は惜しまれるが、致命傷ではなく、マークはしておきたい存在だ。