競馬あれこれ 第44号

【朝日杯FS】参考レース分析 

仕掛けどころが難しくも

きっちり差し切ったドルチェモア

 

サウジアラビアRC

東京の開幕週に組まれているだけあって、サウジアラビアロイヤルCは走破タイムが重要なレース。前身のいちょうS(重賞の2014年のみ)から含め、1分32~33秒台で勝った馬はクラリティスカイ(NHKマイルC)、ダノンプレミアム(朝日杯FS)、サリオス(朝日杯FS)と全て早いうちにGⅠ馬になっている。それだけ素質と完成度が高かったということだろう。

そして、4頭目が今年の勝ち馬ドルチェモア。ハイペースで飛ばす逃げ馬がいて、離れた2番手と仕掛けどころが難しい立場だったが、メンバー最速の上がり3ハロン33秒4の決め手を繰り出し、ゴール前できっちり差し切った。開幕週とはいえ、Vタイム1分33秒4も立派だ。0秒2差2着のグラニットもハナでマイペースを刻めれば面白い。

デイリー杯2歳S

オールパルフェはスローペースに持ち込んで恵まれた逃げ切りに見えなくもないが、1分33秒2のVタイムは京都施行時も含めてレース史上2位タイの優秀な数字。後半4ハロンのラップを全て11秒台にまとめて押し切った内容は立派でスピードの持続力はなかなかのものだ。本番と同じ舞台をクリアしたことも大きい。ただし、中4週で2度の阪神輸送が若い2歳馬にとって負担にならないかという懸念材料はある。

2着のダノンタッチダウンはまだ540キロ近い馬体を持て余している段階で競馬ぶりも後方から大外を回る大味な形。それでも後半4ハロン45秒9の後傾ラップを末脚だけで追い込んだ内容は光った。完成度は他馬に譲っても、素質が世代トップクラスであることは確か。展開が向けば、現段階でも差し切れていい。

京王杯2歳S

過去10年の勝ち馬で朝日杯FSも馬券に絡んだのはモンドキャンノ(2着)、タワーオブロンドン(3着)、タイセイビジョン(2着)の3頭。いずれも前哨戦ではポジションを取りに行かず折り合い重視で中団を進み、ラストの爆発力で差し切った馬だった。

今年の勝ち馬オオバンブルマイは前述3頭のイメージには当てはまらないか。好位インから抜け出すレース運びは巧みすぎるというか、1400メートルがぴったりの印象。それは逃げて2着に粘ったフロムダスクにも同じことがいえる。

ただ、勝ちタイムの1分20秒9は2019年にタイセイビジョンが記録したレースレコードに0秒1まで迫る優秀さ。例年に比べて芝の時計が速かったのは事実だが、本番も高速決着になれば、そのスピードが生きそうだ。