競馬あれこれ 第50号

阪神カップ展望】〝連覇〟か〝記録更新〟か グレナディアガーズVSダイアトニック 伏兵のロードカナロア産駒2頭にも要注意

 

GⅡ阪神カップ=2022年12月24日(土曜)3歳上、阪神競馬場、芝内1400メートル

 2024年度からJRA賞の〝最優秀短距離馬〟の部門が最優秀スプリンター(1400メートル未満)と最優秀マイラー(1400メートル以上~1600メートル以下)に分割される。06年に創設された当レースの距離は1400メートルゆえ後者。09~10年連覇のキンシャサノキセキ高松宮記念を連覇(10~11年)した名スプリンター。一方で19年の覇者グランアレグリアは両方のジャンルでGⅠ制覇と〝非根幹距離〟ゆえ簡単にカテゴライズすることは難しい。果たして今年の勝ち馬は来年以降、どちらの路線で羽ばたいてゆくのだろうか?

 ダイアトニック(牡7・安田隆)は現役屈指の芝7ハロン巧者。同距離重賞3勝はキンシャサノキセキラインクラフトらと並び最多タイとなる。1着馬にマイルCSの優先権が発生するGⅡスワンSを制しながらも本番をパスしての臨戦が当レースへの勝負気配を物語る。2月にはGⅢ阪急杯も制しているように阪神コースの適性は文句なし。歴代記録単独トップに躍り出る可能性はかなり高いはずだ。

 グレナディアガーズ(牡4・中内田)は昨年の勝ち馬。未勝利、GⅠ朝日杯FSと全3勝をこの阪神で挙げている。初めての海外遠征となった前走・GⅠプラチナジュビリーS(英・アスコット競馬場)は19着大敗に終わったが、実績ある舞台での国内GⅡならば帰国初戦から要注意。鞍上も昨年と同じC・デムーロなら申し分ない。

 同世代からはバスラットレオン(牡4・矢作)も参戦。GⅡゴドルフィンマイル1着、GⅢ武蔵野S3着と今年はダートでの好走が目立つが、もともと重賞初Vは芝のGⅡニュージーランドTだから芝適性にも不安はない。むしろカギとなるのは初めての距離で得意の積極策が取れるかだろう。

 GⅠ高松宮記念を2着健闘のロータスランド(牝5・辻野)は直近2走がスワンS(0秒3差6着)、マイルCS(0秒4差8着)と着順ほど内容は悪くない。阪神は5勝をマークの得意コースのうえ、1400メートルの当舞台では2月のGⅢ京都牝馬Sを制覇。牡馬相手でも軽視は禁物だ。

 キングオブコージ(牡6・安田翔)は一昨年のGⅡ目黒記念(2500メートル)で重賞初制覇。年初もGⅡアメリカJCC(2200メートル)を勝利している。短距離へとかじを切った前走・スワンSが0秒2差の5着。ロードカナロア産駒らしい高い適性が認められたうえに、慣れが見込める今回は大幅前進があってもいい。

 同じカナロア産駒ではルプリュフォール(セン6・松永幹)にも注目。昇級戦の安土城Sが0秒2差3着止まりだったが、朱鷺S1着→スワンS3着と当距離で結果を残してきた。GⅠムーランドロンシャン賞2着などフランスで活躍した祖母シャンクシーは96年にJRAにも参戦したが、京王杯SC7着、安田記念15着止まり。26年の歳月を経て孫のリベンジがなるかも興味深い。