競馬あれこれ 第99号

皐月賞展望】2歳GⅠ覇者が不在の異常事態 ファントムシーフ、ソールオリエンス、ベラジオオペラ…どこからでも入れる〝大混戦〟

 

[GⅠ皐月賞=2023年4月16日(日曜)3歳、中山競馬場、芝内2000メートル]

 本番への直行ローテ定着による直接対決の減少もあって、力量比較が難しくなってきた近年のクラシック戦線。しかも今年は朝日杯FS勝ち馬ドルチェモア、ホープフルS勝ち馬ドゥラエレーデの両GⅠ馬不在で、年明けの3歳重賞(牡牝混合)でも8レースのうち1番人気馬は1勝のみ。重賞2勝馬も不在で〝混戦〟のまま本番を迎えることとなった。

 どの馬を中心にするか十人十色となりそうなメンバー構成だが、まず注目すべきは過去10年で5勝を挙げている王道の〝前哨戦〟であるGⅢ共同通信杯勝ち馬ファントムシーフ(西村)だろう。4戦3勝で唯一敗れたホープフルSは出遅れ+前残りというチグハグな競馬ながらも小差4着。コースを問わない安定感は武器で、1冠目に最も近い存在だろう。ルメールが継続して騎乗する点も心強い。

 その共同通信杯で4着に敗れたタスティエーラ(堀)は中2週で臨んだGⅡ弥生賞ディープインパクト記念を制覇。世代トップ級の能力をアピールするとともに、共同通信杯のレベルの高さも証明した。短期間で2走しての本番出走となるだけに体調維持はカギになるが、コース替わりも踏まえればファントムシーフに共同通信杯でつけられた0秒2差は十分逆転可能だ。

 GⅢ京成杯以来となるソールオリエンス(手塚)はここまで2戦2勝。その京成杯では4角で大きく膨れるロスがありながらも2馬身半差の完勝劇で大きなインパクトを与えた。史上初の京成杯勝ち馬による皐月賞制覇という快挙達成なるか。粗削りだからこそ、伸びしろも含めて魅力あふれる一頭だ。同じく無敗(3戦3勝)のベラジオオペラ(上村)は田辺との新コンビで4連勝を狙う。先のGⅡスプリングSも1800メートルだっただけに、距離克服が最大のカギとなりそう。いずれかが勝てば21年エフフォーリア(レース前まで3戦3勝)らに続く史上20頭目の無敗の皐月賞馬となるが、果たして。

 ホープフルS2着馬トップナイフ(昆)は重賞で3戦連続の2着。なかなか勝ち切れないものの、安定して上位争いを続け力は上位だ。前出の無敗馬たちの倍以上のキャリア8戦は大舞台でこそ生きてきそう。同じく昨年の2歳GⅠ(朝日杯FS)で2着のダノンタッチダウン安田隆)はぶっつけでの参戦。半兄ダノンザキッドは皐月賞15着など中山が鬼門となっているが、初距離を克服して兄のリベンジも果たせるか。

 フリームファクシ(須貝)は折り合い面の課題を抱えつつもキッチリと3連勝でGⅢきさらぎ賞を制覇。デビューから続けて競馬を教えてきた成果を大舞台で発揮したいところ。ほかにもすみれS勝ちのシャザーン(友道)、若葉Sを制したショウナンバシット(須貝)、共同通信杯2着タッチウッド(武幸)、父子制覇を狙う2戦2勝のゴールドシップ産駒マイネルラウレア(宮)らもチャンスは十分。有力馬が五指に余る混戦で、見応えある一戦となりそうだ。

 

 

 

 


www.youtube.com


www.youtube.com