競馬あれこれ 第162号

今年は馬場状態も気になるAJCCを分析する

チーム・協会

【データ分析】

今週日曜日は中山でアメリカジョッキークラブC(AJCC)、京都で東海Sが行われる。東海Sは例年の中京ではないためデータでの攻略が少し難しいので、今回はAJCCにスポットを当てることにする。過去10年を振り返り、レース傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析してみたい。

単勝1倍台の馬が3頭敗退

■表1 【AJCC単勝オッズ別成績、過去10年】

単勝オッズ別の成績を調べたところ、単勝1倍台の馬が3頭(15年ゴールドシップ7着、19年フィエールマン2着、23年ガイアフォース5着)も敗れていた。1番人気成績【2.3.0.5】が特別に悪いわけではないが、圧倒的人気でも油断ならない一戦だ。一方、10.0~99.9倍の馬の伏兵が馬券に絡むケースが目立つ。しかし、さすがに100.0倍以上の馬は厳しい。

前走JRA重賞組が中心

■表2 【AJCCの前走クラス別成績、過去10年】

前走クラス別成績を調べたところ、前走JRA重賞組の成績が【8.9.8.77】で好走馬の8割以上を占め、単勝回収値94、複勝回収値104と馬券的な魅力も秘める。中でもG1組は勝率や単勝回収値が高い。G3組は勝率が低いが、複勝率や複勝回収値が優秀だ。対照的に前走3勝クラス組やオープン特別組は苦戦している。

前走G3組は中山金杯以外ならば狙える

■表3 【前走G3組のレース別成績】

前走G3組のレース別成績を調べたところ、最も出走馬が多い中山金杯【0.1.1.14】の好走率が低かった。前走G3組のうち、中山金杯を除いた成績は【1.5.3.14】となる。それでも勝率は4.3%と低いが、連対率26.1%、複勝率39.1%となった。

前走G2で3着以内の馬に注目

■表4 【前走G2組の着順別成績】

前走G2組の着順別成績を調べたところ、3着以内であれば【2.0.2.3】の好成績であることがわかった。好走馬4頭のレース内訳は金鯱賞(2頭)、ステイヤーズSとアルゼンチン共和国杯(それぞれ1頭)。前走4着以下【0.0.0.19】からは全く好走馬が出ていない。

前走G1組の好走馬の半分は中山芝重賞で好走実績あり

■表5 【前走G1組の好走馬】

前走G1組の好走馬を調べたところ、10頭中(内1頭は中山芝未経験)5頭に中山芝重賞で好走実績があった。特に距離2200mのオールカマーセントライト記念で好走実績があると心強い。また、19年のシャケトラは17年有馬記念(6着)以来、約13か月の休み明けながら勝利を果たした。

【結論】

有力馬に道悪巧者が揃った

まず前走G1組からは中山芝重賞で好走実績があるカラテ(22年中山記念2着)とモリアーナ(23年紫苑S1着)が有力。次に前走G2組の有力馬はマイネルウィルトス(前走ステイヤーズS3着)とチャックネイト(前走アルゼンチン共和国杯3着)。そして前走G3組の注目馬はボッケリーニ(前走チャレンジ2着)になるだろう。

冒頭に述べたように今週日曜日は天気が崩れ、馬場状態が悪化することが考えられる。そこで有力馬の芝の重・不良成績を調べておきたい。カラテ【2.0.0.2】、マイネルウィルトス【1.1.1.2】、チャックネイト【1.0.0.0】、ボッケリーニ【1.2.0.1】。モリアーナは未経験だったが4頭に勝ち鞍があった。特にカラテは不良馬場の23年新潟大賞典をハンデ59キロで勝利。ボッケリーニは不良馬場の23年日経賞で2着。マイネルウィルトスは超不良馬場の福島民報杯(新潟芝2000m)で大差勝ちの実績がある。この3頭にとって道悪は「歓迎」という印象なので、馬場が渋った方がチャンスは大きいのではないだろうか。