競馬あれこれ 第83号

東京新聞杯】データからナミュール文句なし 相手候補は実績馬より前走3勝クラス勝ちのインダストリア

 

過去10年1番人気は1勝止まり
古馬マイルは各カテゴリーのなかで春の最大目標がもっとも遠くに設定されている。古馬牝馬路線や3歳マイル戦線が集約された形で迎える安田記念は6月のはじめ。2月東京新聞杯からは3カ月以上先になる。使いだしには早過ぎるきらいがある東京新聞杯は今春、実績馬に挑む上がり馬と、最上位クラスにはね返された組が激突するレースだ。

過去2年はカラテ、イルーシヴパンサーが重賞初制覇を飾り、さらに上のクラスへの挑戦権を得た。今年もそういった彗星が登場するのか。はたまた実績を積んだ組が再出発を切るのか。今年は近年にまして実績馬の層が厚そうだ。その点も踏まえ、データで整理してみたい。なおデータは過去10年間のものを使用する。

過去10年で1番人気は【1-1-2-6】勝率10.0%、複勝率40.0%でどうも勝てない。19年インディチャンプが前走3勝クラスから昇級初戦で重賞初制覇を飾り、その春に安田記念を制した。一方でここ2年はヴァンドギャルド、ファインルージュといった重賞ウイナーが結果を残せなかった。やはり実績馬はこの時期に能力全開とはいかず、名前で人気を背負い、負けるというケースが多い。

では波乱傾向なのかというと、勝ち馬は5番人気以内9頭、6番人気【0-3-0-7】複勝率30.0%以下は苦戦傾向で割れた上位人気同士で決まりやすい。

スピードと持続力を問う東京マイル戦では若さは武器になるようで、4歳が【5-5-3-25】勝率13.2%、複勝率34.2%で最上位。5歳【2-3-5-29】勝率5.1%、複勝率25.6%、6歳【3-1-1-31】勝率8.3%、複勝率13.9%といったように5歳以上の単勝狙いはやや効率が悪い。1番人気も馬券に絡んだ4頭中3頭が4歳で、5歳以上は【0-0-1-4】。4歳優勢は頭に入れておこう。

東京マイルとくれば決め手を重視したいところだが、東京新聞杯は上がり1位【1-3-0-7】勝率9.1%、複勝率36.4%、2位【2-3-1-6】勝率16.7%、複勝率50.0%、3位【0-1-3-5】複勝率44.4%、4~5位【5-2-2-13】勝率22.7%、複勝率40.9%と必ずしも決め手最上位である必要はない。

この時期の東京芝はAコースから9m外側にラチが出てくるDコースを使用し、普段より外を回った際の距離ロスが大きく、休眠期の芝であるため、瞬発力を繰り出しにくい。春や秋ほど高速馬場ではないことがこのデータに影響している。そもそもスローペースになりやすく、逃げ、先行馬が位置取りに優位さを活かしやすい。ペースが遅く、いくら瞬発力を発揮しても届かないといったケースも想定しておきたい。

名牝ズラリの好ローテにはまるナミュール
マイル戦ではやや位置取りが下がるナミュールや瞬発力勝負に強いジャスティンカフェに気になるデータを紹介したところで、ここからは具体的に戦歴データを確認し、好走候補を絞っていこう。

まず前走クラス別成績から。前走GⅠは【4-2-2-16】勝率16.7%、複勝率33.3%とさすがの成績だが、GⅡ【1-0-3-15】勝率5.3%、複勝率21.1%、GⅢ【1-4-4-39】勝率2.1%、複勝率18.8%とほかの重賞組は芳しくなく、それなら格下からくる前走3勝クラス【4-1-0-7】勝率33.3%、複勝率41.7%を狙おう。

まずは前走GⅠについて内訳をみる。ナミュールの前走エリザベス女王杯が【3-0-1-1】勝率60.0%、複勝率80.0%とやけに数字がいい。14年ホエールキャプチャ、16年スマートレイアー、18年リスグラシュー出走機会3連勝を飾り、21年シャドウディーヴァ3着と4回連続で複勝圏内を守る好ローテだ。なお、エリザベス女王杯5~9着だと【3-0-1-0】で馬券圏内パーフェクトなので、5着だったナミュールも当てはまる。東京は得意舞台であり、あっさり勝たれても納得だ。

対して前走マイルCSは【1-0-1-11】勝率7.7%、複勝率15.4%と意外と結びつかない。好走は前走6着以下【1-0-1-9】、位置取り中団【1-0-1-5】、後方だと【0-0-0-5】。ジャスティンカフェは4角15番手から6着、データ的にはやや微妙だ。むしろ中団だったウインカーネリアンを見直しても面白い。というのも今年も組み合わせ的にスローになる公算が高く、本来は先行できるウインカーネリアンに展開利がありそうだからだ。

ほかの重賞組では今年も多数登録がある京都金杯は【1-2-3-24】勝率3.3%、複勝率20.0%で物足りない。京都金杯が左回りの中京だった過去2年も【0-0-0-7】で好走はない。であれば、前走3勝クラス【4-1-0-7】を考えたい。距離別成績では1600m【3-0-0-4】勝率、複勝率42.9%、1600m超【1-1-0-2】勝率25.0%、複勝率50.0%で1600m以上出走が条件になる。

中山マイルのカウントダウンSを勝ったインダストリアも候補に入る。このレースは前後半800m47.2-47.5と均整のとれたラップ構成で、11秒台がずらっと続いた。先行したダンテスヴューや逃げたハーモニーマゼランが2、3着に残るなか、インダストリアは4角10番手から差し切った。力が違った印象であり、重賞で通用しても不思議はない。