競馬あれこれ 第70号

愛知杯】荒れる牝馬重賞 小倉記念圧勝マリアエレーナ中心、穴候補はエリカヴィータ

 

1月の牝馬限定GⅢ

2023年1月14日に中京競馬場で行われる愛知杯。かつては「父内国産馬限定重賞」のひとつとして行われていたが、04年からは牝馬限定重賞に条件が変更された。14年までは12月開催で、現在と同じ1月に移行したのは16年から。ここではその16年以降の7回を参考にデータを分析していく。なお、20年は小倉で代替開催となっている。

イメージ通り波乱が頻発
荒れる重賞というイメージが根強い愛知杯だが、人気別成績を見てもかなり強烈。1番人気【1-1-1-4】はまだいい方で、1~4番人気まで合算すると【2-2-3-21】で連対率はわずか14.3%しかない。マーメイドSターコイズSもそうだが、牝馬限定のハンデGⅢはどれもこれも波乱傾向だ。

近7年では6~8番人気【4-1-3-13】複勝率38.1%あたりが好調で、12番人気以下は【0-0-0-38】と馬券絡みなし。ただ、12月開催時代の13年に12-14-13番人気で決着した例もあり、いつ激走してもおかしくない。伏兵の分析も怠りたくない。

年齢別では5歳が4勝。勝率もトップとなっている。ちなみに4歳【1-2-2-21】は前述のレース傾向とは反対に、上位人気馬にしか好走例がない。4歳で4番人気以内なら【1-2-2-6】、5番人気以下なら【0-0-0-15】。穴は5歳以上から出ている。

ハンデ戦ということで、斤量別成績も出す。51キロ以下は【0-2-0-21】と頭数のわりに結果が出ておらず、実績馬に課せられる55.5キロ以上【2-0-2-3】複勝率57.1%が目を引く。なお、今年から平地競走での斤量がおおむね1キロ増となっているため、その分を補正して56.5キロ以上のハンデを背負う馬がいれば狙い目、逆に52キロ以下はちょっと厳しいだろう。

あと、抑えておきたいのは枠順別成績。これは中京と小倉が混ざったデータにはなるが、どちらのコースにせよ内枠がやや有利な傾向。1~4枠は【4-4-5-40】複勝率24.5%、単回収率171%、複回収率120%に対し、5~8枠は【3-3-2-54】複勝率12.9%、単回収率36%、複回収率37%。能力の差をハンデで埋めているがゆえに、最後は枠順がモノをいう。

穴はターコイズS大敗馬
「人気薄」「ハンデ56.5キロ以上」「内枠」など、未確定なデータが多くなってしまったが、ここからは上位人気になりそうな馬について成績と関連するデータを見ていこう。

昨年の2着馬、小倉記念を圧勝、天皇賞(秋)7着のマリアエレーナ天皇賞からの参戦はおろか、前走が牡馬混合GⅠだった馬も例がなく、データ的には評価に困る存在。一応、3番人気以内の芦毛馬は【1-2-1-2】、といった“小ネタ”はあるが……。マリアエレーナ自身の戦績に注目すると、これまで中4週以上の間隔をとって出走したレースは【4-3-2-1】と安定感抜群。使い詰めでさえなければGⅢでの実力上位は明らかで、2か月のリフレッシュを経た今回も信頼度は高いだろう。

休み明けが得意なのはアートハウスも同様。秋華賞組は【1-0-0-9】(勝利はマジックキャッスル。秋華賞2着馬)でなんとも言えない成績だが、自身は新馬戦と中9週以上空けたレース計3戦は全勝。こちらも有力だ。

ルージュエヴァイユは連勝でここへ。4歳だが上位人気は確実で、そういった意味で年齢データは満たす存在だ。前走が3勝クラスだった馬は【2-0-3-23】と微妙だが、そこで連対していれば【2-0-3-13】と通用して不思議ない。ただ、前走が1800m以下の条件戦だった馬は【0-1-1-20】。あまり機能していない臨戦過程ではある。

ほか、サトノセシルの福島記念組は【0-0-0-4】アイコンテーラー中日新聞杯組は【0-0-1-8】と低調。

面白いのはターコイズSで、(GⅢ昇格前含めて)【2-2-0-7】。上々の好走率に加え、馬券に絡んだ4頭が10番人気、6番人気、9番人気、6番人気といずれも穴を提供している。この4頭ともターコイズSでは5着以下。イメージとしては、不得意なマイルで崩れた馬が中距離で反撃する、といった感じ。となれば、ターコイズSで0.3秒差9着だったフローラS勝ち馬エリカヴィータが穴候補か。あとは内目の枠を引ければ、チャンス拡大だ。