競馬あれこれ 第7号


七夕賞予想オッズ】ヒートオンビートが予想1番人気

10日に福島競馬場で行われる、第58回七夕賞(3歳上・GIII・芝2000m)に17頭が登録。競馬ファンによる予想から算出した予想オッズは5日時点で以下のようになっている。

 前走は天皇賞・春で4着だったヒートオンビート(牡5、栗東友道康夫厩舎)が単勝1.9倍で1番人気に推されており、アンティシペイト(牡5、美浦国枝栄厩舎)、ヒュミドール(セ6、美浦・小手川準厩舎)と続いている。

 左から人気、馬名、予想オッズ

01 ヒートオンビート 1.9
02 アンティシペイト 4.8
03 ヒュミドール 5.7
04 モズナガレボシ 12.2
05 レッドジェネシス 14.4
06 ヴァンケドミンゴ 15.0
07 トーラスジェミニ 24.7
08 ショウナンバルディ 25.9
09 フォルコメン 37.2
10 ロザムール 41.5
11 エヴァーガーデン 47.7
12 ヤマニンデンファレ 49.6
13 プリマヴィスタ 58.4
14 エヒト 77.4
15 シークレットラン 124.3
16 マウントゴールド 157.9
17 ゴールドスミス 244.1

※予想オッズは「俺プロ」の投票データを元に算出されています。

 

自己啓発にお勧めです。

 

 

 

 

 

競馬好きの方へお勧めします。

 

 

 

 

 

競馬あれこれ 第6号

【AI予想・CBC賞】開花目前!? 昨年の雪辱果たす「豪脚一閃」のスプリンター

宝塚記念(GI・阪神・芝2200m)が終了し、いよいよ競馬界も夏本番。東京、阪神開催が終わり、今週から福島、小倉、函館の3場開催となります。

 今週は、日曜日に重賞が2レース。福島競馬場ラジオNIKKEI賞小倉競馬場CBC賞が行われます。

 どちらも楽しみな一戦ですが、ラジオNIKKEI賞は13頭立てと少頭数。今回は、17頭立てと頭数も多いCBC賞を予想していきましょう。

 昨年も小倉競馬場で行われたCBC賞ですが、今年も出走を予定するファストフォースが優勝。1:06.0というレコード決着を、8番人気ながら逃げ切りました。

 今年は3歳牝馬のアネゴハダが人気となりそうですが、上は9歳のレインボーフラッグまで幅広いメンバー構成。各世代のスプリンターが凌ぎを削る戦いは、馬券的にも面白いレースとなりそうです。

 そんな一戦を、妙味重視のAIはどう予想するのか…。人工知能によって弾き出された、注目馬をご紹介します。

◆スプリンターの素質開花!?

 今週のCBC賞でAIが本命に抜擢したのは、人気の一角となることが予想されるタイセイビジョンでした。

 本馬は、1400mの新馬戦を快勝すると、続く函館2歳S(GIII)でも2着と健闘。その後も京王杯2歳S(GII)1着、朝日杯FS(GI)2着アーリントンC(GIII)1着、NHKマイルC(GI)4着と、世代上位のスプリンターとして活躍していました。

 その後はマイルを中心に走っていましたが、勝ち切ることができず距離を短縮。昨年の同レース4着をきっかけに、今は1200mを中心に戦っています。

 徐々にスプリンターとしての素質も開花しており、昨年の京阪杯(GIII)、前走の春雷S(L)では2着とあと一歩の競馬。差し、追い込み脚質のため展開にも左右されますが、コンスタントに上がり上位の脚を繰り出していることは評価できるでしょう。

 今年のCBC賞で、タイセイビジョンは昨年と同斤量の57kg。対して、昨年の覇者・ファストフォースは昨年から4kg増(52kg→56kg)で、逆転は十分可能でしょう。

 3歳軽量組は気になるところですが、実績的には圧倒。今回のメンバー構成であれば、無様な競馬にはならないはずです。

自己啓発にお勧めです。

 

 

 

 

 

 

競馬あれこれ 第5号

宝塚記念】馬場状態から浮上するのはこの馬だ

宝塚記念・G1」(26日、阪神

 宝塚記念が行われる26日、阪神競馬場がある兵庫県宝塚市の天気は曇り時々晴れで、降水確率は20%。土曜の昼過ぎから夕方にかけて若干の降雨はあったが、馬場に与える影響は極めて軽微。良馬場開催が見込めそうだ。

 先週に引き続き芝はBコースを使用。馬場状態は良好で、先週同様に時計は速くなりそうだ。土曜10Rの水無月S(芝1400メートル=3勝クラス)は1分20秒0の好時計。V時計は2分10秒台の決着になるとみる。

 狙いはウインマリリンだ。同舞台で行われた20年エリザベス女王杯4着馬。当時の馬場状態も時計が出やすいもので、決着時計は2分10秒3と速かった。そんな中で、1着ラッキーライラック、2着サラキア、3着ラヴズオンリーユーに続く4着(勝ち馬と0秒4差)なら評価に値する。持ち時計もメンバー中2位。今の馬場を味方につけて、波乱演出といく。

競馬あれこれ 第4号

宝塚記念天皇賞で凡走した馬こそチャンス 逆説的に狙えるポタジェとヒシイグアス

GⅠ「凡走実績」に着目

春競馬の総決算となる宝塚記念天皇賞(春)にマイル路線、はたまたドバイや香港からの転戦組まで、さまざまな路線の馬たちが集まるGⅠであるため、王道ローテなどあったものではない。しかし、それでも何か手がかりとなるものを見つけなければ先には進めない。

それならば、逆に考えよう。思いついたのが「常識から外れている傾向」で狙う方法だ。春のグランプリで好走する馬を探すわけだから、普通は何かしら光る実績に目が行きがちだが、その常識的な考えから外れた部分をチェックしてみよう、というわけだ。

まず「宝塚記念で有力なのは、過去にGⅠ好走歴の一つや二つある馬」と考えるのが常識だろう。では実際に、過去10年の宝塚記念で3着以内に入った馬が、直前の1年以内に出走したGⅠの成績を調べた。

宝塚記念3着以内馬の前年有馬記念における成績は【3-0-3-7】。前年末のグランプリと両方を制した馬が3頭いるうえ、3着や着外からの宝塚記念好走馬もいる。つまり、前年有馬記念出走馬は着順にかかわらず有力、ということだ。

一方、「凡走している方が宝塚記念で好走する」というGⅠが2レースある。

1つ目は天皇賞(春)だ。宝塚記念で3着以内に入った馬たちの、同年の天皇賞(春)成績は【1-0-0-9】。ここで凡走し、宝塚記念で3着以内に入った例が9回もある。唯一の両レース好走は2016年キタサンブラック(1着→3着)だが、そのキタサンブラックも翌年は天皇賞(春)1着→宝塚記念9着だった。天皇賞(春)宝塚記念は連動しにくいと考えるべきだろう。

タイトルホルダーと「あの事件」
そう考えると、タイトルホルダーにとっては天皇賞(春)制覇がマイナス材料ということになるのだが、逆に後押しするデータもある。それは宝塚記念で3着以内の馬が、菊花賞に出走した時の成績が【6-0-1-3】というもの(※宝塚記念で複数回好走した馬は重複してカウント)。10年でのべ6頭の「菊花賞馬」が宝塚記念でも好走している。タイトルホルダーはこれでプラマイゼロといった感じだ。

しかし、この「菊花賞馬の天皇賞(春)勝ち後、宝塚記念出走」といえば厄介な例がある。タイトルホルダーとは脚質が真逆ではあるが、2012年の菊花賞ゴールドシップだ。

2013年 天皇賞(春)5着 宝塚記念1着
2014年 天皇賞(春)7着 宝塚記念1着
2015年 天皇賞(春)1着 宝塚記念15着

GⅠを6勝した名馬ゴールドシップでも、同年に天皇賞(春)宝塚記念の両方で好走することはできていない。2015年は「120億円事件」とも形容される、断然人気での大出遅れもあった。果たしてタイトルホルダーは連勝して、呪縛を解くことができるのだろうか。

天皇賞(秋)で連対は逆効果か
もうひとつ、凡走馬が宝塚記念で好走しているGⅠが、なんと天皇賞(秋)だ。宝塚記念3着以内馬の前年天皇賞(秋)出走時成績は【0-0-2-4】。ちなみに天皇賞(秋)で連対した翌年に宝塚記念に出走した馬の成績は【0-0-0-6】である。

こうなると、エフフォーリアが危ういということになる。秋の天皇賞馬が好走できないとなれば「常識から外れている」だろうが、この傾向を信じるならば、消しである。

狙うなら昨年の天皇賞(秋)で3着以下だった馬が面白い。今年の出走馬で該当するのは、

ポタジェ 天皇賞(秋)6着
ヒシイグアス 天皇賞(秋)5着

ポタジェは前走で大阪杯を勝っており人気候補だが、天皇賞(秋)の敗戦が好材料になるかもしれない。ヒシイグアスは穴で面白い存在になりそうだ。

競馬あれこれ 第3号

競馬に絶対はない! 単勝1倍台の馬が敗れた3つの重賞レースを振り返る

何が起こるか分からない。それが競馬

競馬をしていると「鉄板」という言葉をよく耳にするのではないだろうか。しかし、競馬に絶対はない。何度も何度も経験している。今回はそんな「鉄板」が覆された3つの重賞レースに注目し、振り返っていく。

単勝1.1倍! タイキシャトルのラストラン
1998年 第32回 スプリンタースステークス
1着 マイネルラヴ吉田豊)7番人気 37.6倍
2着 シーキングザパール武豊)2番人気 10.5倍
3着 タイキシャトル岡部幸雄)1番人気 1.1倍
4着 ワシントンカラー柴田善臣)3番人気 13.5倍
5着 セレクトグリーン(後藤浩輝)14番人気 155.8倍

「負けるわけがない」。誰もがそう信じて疑わなかった1998年暮れのスプリンターズS単勝1.1倍の人気に支持されたのはタイキシャトルだった。それまで12戦11勝。前年にはマイルチャンピオンシップスプリンターズSを連勝し、年が明けてからは安田記念を快勝した。

夏は海外遠征し、仏国ジャック・ル・マロワ賞ではシーキングザパールのモーリス・ド・ゲストに続く、2週連続の日本調教馬の海外GⅠ制覇でファンを興奮させた。帰国後はマイルチャンピオンシップに出走。直線で岡部騎手が後続を振り返ってから仕掛ける程の余裕を見せ、エンジンがかかるとあっという間に2着ビッグサンデーを5馬身突き放した。

この頃のタイキシャトルは負ける姿が一切想像できなかった。それでも競馬は何が起こるか分からない。1998年12月20日。冬の中山らしい空っ風が吹くなかゲートが開く。スタートすると、いつもに比べ若干動きが硬い様にも見えたが、すぐに普段の走りに戻った。

4コーナーを回るときに1歳下のマイネルラヴが襲い掛かってくる。そしてタイキシャトルも馬体をあわせる。直線を向くと、いつもと違い引き離せない。むしろマイネルラヴが徐々に引き離す勢いではないか。外からはシーキングザパールが飛んできている。ラスト100mで一瞬抵抗するも、勝負は決していた。

ゴール板近くでは馬券の紙吹雪が舞っていた。このときほど「競馬に絶対はない」と痛感した事はなく、それからは圧倒的1番人気の馬がいるレースでも「あのタイキシャトルですら負けるのだから勝負事に鉄板はない」と思い出している。

単勝1.0倍! ナリタブライアンがまさかの敗北
プラス10施策により、中央競馬ではまず見ることがなくなった、単勝元返しになる1.0倍のオッズ。1986年以降の重賞では4例ある(サラブレッド競走に限る)。

2005年 菊花賞 ディープインパクト武豊)1着
1995年 阪神大賞典 ナリタブライアン(南井克己)1着
1995年 きさらぎ賞 スキーキャプテン武豊)1着
1994年 京都新聞杯 ナリタブライアン(南井克己)2着

なんと1度だけ負けた例がある。それが1994年京都新聞杯ナリタブライアンだ。

1994年 第42回 京都新聞杯
1着 スターマン(藤田伸二)3番人気 15.5倍
2着 ナリタブライアン(南井克己)1番人気 1.0倍
3着 エアダブリン岡部幸雄)2番人気 11.3倍
4着 マルカオーカン(河内洋)5番人気 49.5倍
5着 メルシーステージ河北通)4番人気 15.6倍

1994年、私はまだ未成年。一人のファンとして競馬を楽しんでいた。親族や周りに地方競馬の馬主がいる環境で育った私にとって競馬はギャンブルだけでなく身近なものであった。オグリキャップ有馬記念をテレビの前で応援し、トウケイニセイの走りに胸を熱くした。

そんな子供時代を過ごした私にとって、ナリタブライアンもヒーローの一頭だった。共同通信杯を快勝し、スプリングSではド派手なレースを披露し圧勝。皐月賞ではコースレコードを更新し、日本ダービーでは壁さえなければ負けるわけがないと言わんばかりの大外一気。黒鹿毛の馬体はただただ、格好良いヒーローに見えていた。

夏を北海道で過ごし、迎えた秋初戦の京都新聞杯。ファンは単勝1.0倍でブライアンを迎えた。相手筆頭のエアダブリンは、日本ダービーで2着ながら5馬身離され、秋初戦のセントライト記念では3着と敗れていた。

ほかには、条件戦から3連勝で神戸新聞杯を制していたスターマンや、4連勝で毎日杯を制すも皐月賞13着、日本ダービー17着だったメルシーステージ。後に1995年の日経新春杯を勝つゴーゴーゼットや、同じく1995年の関屋記念勝ち馬フェスティブキングもいるがこの段階では力不足という成績。怖いのはエアダブリンとスターマンといったところだろうか。

レースが始まるといつものように中団につけ、徐々に先団にプレッシャーを与えながら進出する。しかし、この日は直線に入っても弾けない。ジリジリと伸びてはいたが、日本ダービーのような唸る伸び脚は見られない。

気付くと内からは藤田伸二騎手騎乗のスターマンが伸びてくる。れんげ賞でレコードに0.1秒差の快勝。前走で神戸新聞杯を制している夏の上がり馬が大仕事をやってのけた。

しかし、ファンも実況も皆言葉を失っている。それほどまでにこの金星は衝撃的だったのだ。単勝1.0倍の馬がメインレースで負けたときの雰囲気をもう感じることは出来ないだろう。そんな、京都新聞杯だった。

ゲート内で大暴れ! 三連覇に挑んだゴールドシップ
2015年 第56回 宝塚記念
1着 ラブリーデイ川田将雅)6番人気 14.2倍
2着 デニムアンドルビー浜中俊)10番人気 31.3倍
3着 ショウナンパンドラ池添謙一)11番人気 99.2倍
4着 トーホウジャッカル酒井学)7番人気 17.7倍
5着 ヌーヴォレコルト岩田康誠)3番人気 9.1倍
15着 ゴールドシップ横山典弘)1番人気 1.9倍

最後は宝塚記念から。始めに伝えたいのが1986年以降、宝塚記念では単勝1倍台の馬がよく負けるということだ。【5-5-1-3】で勝率35.7%。実に14頭中9頭も負けている。該当馬は海外遠征プランがあったオグリキャップ(1990年2着)、凱旋門賞挑戦計画のあったキタサンブラック(2017年9着)、そしてあの大出遅れのあったゴールドシップ(2015年15着)などがあげられる。

ラブリーデイが勝った宝塚記念」よりも「ゴールドシップが出遅れた宝塚記念」として有名になってしまったレース。勝ち馬ラブリーデイはその年の中山金杯京都記念、そして前走の鳴尾記念と重賞を3勝。そんな実績のある馬ですら6番人気に甘んじるほどの面白いメンバーが揃っていた。

レースは同一GⅠ・3連覇に挑むゴールドシップがゲート内で立ち上がり大きく出遅れ。全国の競馬ファンの悲鳴からレースが始まった。序盤は離された最後方を追走。3コーナーまでに何とか挽回し、馬群にとりつくまでが精一杯だった。

負けに負けた15着。これだけ負けても「しょうがないよぁ、ゴールドシップだもん」と言ってくれるファンの多さが、この馬の魅力を如実に表している。

 

競馬あれこれ 第2号

タイトルホルダー、ポタジェは続けるか? 古馬中長距離春二冠に輝いた名馬の共通点

 

6月26日の宝塚記念が盛況だ。登録数はフルゲート18頭をこえる20頭。回避がなければ最終的に除外馬が出るかもしれない。宝塚記念の除外は史上初になるという。6月下旬という時期は早々に夏休みといった有力馬も多く、有馬記念と比べると、頭数がそろわないといった問題を抱えていただけに、今年の登録数は喜ばしい。

 春の古馬中長距離路線は17年に大阪杯がGⅠに昇格し、天皇賞(春)そして宝塚記念と続き、秋と同じく三冠になった。秋の三冠はテイエムオペラオーゼンノロブロイの2頭が達成したが、春三冠は大阪杯の歴史が浅いこともあり、まだ出ていない。それどころか二冠達成も非常に少ない。今年でいえばポタジェが挑む大阪杯宝塚記念はゼロ。19年アルアイン4着、20年ラッキーライラック6着、21年レイパパレ3着。天皇賞(春)には行かず、間隔をとり、距離もわずか200mの違いながら、達成できないのはなぜなのか。大阪杯の歴史が浅いので、いずれあらわれる可能性は高く、ポタジェが史上初の春二冠馬につく可能性だって十分ある。

 タイトルホルダーが挑む天皇賞(春)との二冠はこれまで88年タマモクロス、89年イナリワン、94年ビワハヤヒデ天皇賞阪神)、00年テイエムオペラオー、03年ヒシミラクル、06年ディープインパクトの6頭が達成。16年キタサンブラックが挑戦し、3着。同馬は翌年、前人未踏の春三冠に挑むも9着。つまり古馬中長距離の春二冠は06年以来、15年間出ていない。タイトルホルダーはディープインパクトに続けるだろうか。

 というわけで、ここでは春二冠、天皇賞(春)宝塚記念を勝った馬たちのなかからテイエムオペラオーについて振り返りたい。

00年テイエムオペラオーの春二冠

 この年テイエムオペラオー有馬記念まで8連勝。世紀末覇王として絶対王者にのぼりつめるが、その前年は皐月賞優勝後は勝ち星がなく、確勝級とされたステイヤーズSですらペインテドブラックに敗れた。

 オーナーの全勝宣言とともに明けた00年は京都記念阪神大賞典とライバルのナリタトップロードラスカルスズカを下し、連勝。天皇賞(春)は前哨戦で後ろにいたナリタトップロードが今度は菊花賞の再現を狙い積極策、ラスカルスズカが2頭後ろで出し抜けを狙うという状況のなか、勝負所でナリタトップロードに先に抜け出されないように併走しつつ、後ろのラスカルスズカを待つといった完璧なレース振り。溜めるだけ脚を溜めた2着ラスカルスズカの外強襲を残り100mで逆に突き放した。

 そして宝塚記念単勝1.9倍の1番人気。前年覇者でグランプリ3連勝中のグラスワンダーが登場。00年2戦は6、9着に敗れるも、関東の雄・蛯名正義騎手に乗り替わっての参戦。前年スペシャルウィークを置き去りにした舞台で復活を期す。さらにラスカルスズカも参戦。単勝オッズひと桁台はこの3頭のみ。またも三強の競馬だった。

 雨のなか行われたこの年のサマーグランプリは、馬場が悪く、グラスワンダーは道悪に本来の走りを封殺された。各馬内を開けて進むなか、テイエムオペラオーは4、5番手の外。後ろから来るグラスワンダーを振り切るなか、ガラ空きのインに飛びこんだラスカルスズカ武豊騎手の奇襲だった。

 3、4コーナーで距離を稼ぎ、先頭に躍り出たラスカルスズカにさすがに和田騎手も肝を冷やしたという。道悪で大外を回ったとあって、天皇賞(春)よりも押っつけ気味にテイエムオペラオーも食らいつく。一旦は抜けたラスカルスズカも馬場の悪い内側を走ったとあって、消耗度合いは高く、その間を2着メイショウドトウ、3着ジョービッグバンが追ってきた。

 相手をよく知るラスカルスズカに対し、メイショウドトウジョービッグバンテイエムオペラオーに併せる形になった。併せ馬こそ、テイエムオペラオーの真骨頂。サンデー系のような瞬発力こそないが、併せれば相手を抜かせない勝負根性と長く脚を使う持久力こそが最大の武器。春二冠、そして秋も負けない原動力はここにあった。梅雨特有の重い馬場も合わさり、スタミナ比べになったことで、テイエムオペラオーはこのあとライバルになるメイショウドトウをクビ差封じた。メイショウドトウにとってテイエムオペラオーとのわずかな差は以後、何度も辛酸をなめさせられることに。雪辱は1年後の宝塚記念。新たなライバル物語のはじまりだった。

春の古馬中長距離二冠に必要な武器

 テイエムオペラオーの武器が長く使える末脚とスタミナだったことは春の古馬中長距離二冠を達成するヒントになる。この後、達成する菊花賞ヒシミラクルも武器は同じであり、最後に二冠を決めたディープインパクトも瞬発力のイメージが強いが、こと春については天皇賞(春)では残り1000mから超ロングスパートを決め、宝塚記念は土砂降りのなか、11.9-11.3-12.3-12.2とみんな最後は苦しく、脚があがる競馬を上がり最速34.9で勝利と、2戦続けて無類のスタミナとロングスパートで勝ち切った。

 大阪杯との二冠が難しいこととも共通するが、宝塚記念は時期的なものやレースの流れなど、中距離であってもスタミナを問われる舞台で、2000mを好位から抜け出せるスピードだけでは太刀打ちできない部分がある。

 一方、同じような特徴のキタサンブラックが連続して敗れたのは引っかかる。上記3頭との違いでいえば、先行型であることがあげられる。前走でGⅠを勝った先行馬となれば、当然宝塚記念でのマークはかなり厳しくなる。

 天皇賞(春)を逃げ切ったタイトルホルダーは過去の春二冠馬にひけをとらないスタミナと持続力の持ち主。それだけに、宝塚記念で形成されるだろう包囲網をいかに潜り抜けるかが焦点になる。先行勢には同じく大阪杯との二冠をかけるポタジェ、逃げ脚で世界を驚かさせてきたパンサラッサ、そして同世代のエフフォーリアも本来は先行できる器用さがある。この包囲網を果たして突破できるか。

 いかに自分の競馬に持ち込み、スタミナ勝負に持ち込めるか。どんな相手にでも対抗できるだけのスタイルはすでに確立されつつある。横山和生騎手も日経賞で折り合い面など確認したいポイントを確かめ、入念な準備をした上で天皇賞(春)圧勝劇を演出。宝塚記念も一週前追い切りに騎乗し、用意周到。包囲網突破、春二冠を目指す。

競馬あれこれ 第1号

【緊急コラム】インスタントジョンソン・じゃい氏への莫大な追徴課税 課税システムの本当の問題はどこにあるのか

 

馬券の払戻金に対する課税のあり方については、当連載開始当初から繰り返し扱ってきたが、最近になって少々トリッキーな案件が、メディアの注目を集めている。当事者はお笑いトリオ「インスタントジョンソン」のじゃい氏(50)。競馬、麻雀、パチンコなど賭け事系なら種目を問わない「ギャンブル芸人」として活動している。

 同氏が6月5日、動画投稿サイトYouTubeの自身のチャンネルを更新。馬券の払戻金を巡って、税務当局から「マンションが買える」程度の高額の追徴課税を受けたことを明かした。該当動画のサムネイルに「破産」という刺激的な表現が使われたこともあり、6月13日午後の時点で再生数が73万件以上を記録。地上波のワイドショーなどでも取り上げられた。

 追徴課税の対象となったのは、2020年12月15日の川崎。南関東で発売されている「トリプル馬単」に約4075万円のキャリーオーバーが発生していた状況で、じゃい氏はわずか2人の的中者の1人となり、6410万6465円の払戻金を手にした。一連の過程は自身のチャンネル「じゃいチューブ」で公開されており、後に「6410万円男」としてYouTubeの他チャンネルに登場するなど、「競馬芸人」としての立ち位置を確固とするモメンタムとなった一撃に他ならなかった。

 だが、的中が公知の事実となったことで当局が調査に動き、追徴課税という事態に至った模様だ。

アテンションエコノミーの明暗

 6月5日の動画を見て、最初は状況が飲み込めなかった。じゃい氏は「申告はきちんとやっている」と述べており、なぜ追徴となったのか、理解できなかった。6月11日に、一連の状況を補足説明する動画が公開され、初めて追徴の理由がわかった。同氏は「当初は一時所得で申告していたが、周囲の勧めもあって『雑所得でも行けるのでは』と考え、払戻金を雑所得として申告していた」と明かした。

 外れ馬券を経費に計上出来るか、言い換えれば、的中券の購入額のみを経費とする「つまみ食い課税」は是か否か。こうした件を巡って何度も登場した、おなじみの論点である。税務当局はこの点を問題視し、数カ月の期間をかけて上級庁の判断を仰ぎ、一時所得と決定を下したようだ。